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言いたいことはそれだけですか。では、始めましょう  作者: 井藤 美樹
第四章 新米王女殿下の初外交

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第四十八話 新米王女殿下、亡国と大国の違いを教えてもらう



「ほぉ~まだ、少しはまともな奴がいたんだな」


 突撃された件について報告したら、お父様の間延びした声が執務室に響いた。


「あいつ、妹の件知らなかったのか?」


 呆れと困惑が混じった声で、ラリーお兄様が疑問を口にした。


「う〜ん、知らなかったというよりは、きちんと処罰すると信じていたような口振りだったけど。明らかに、ショック受けてたし」


 私が真実を伝えたら、膝から崩れ落ちて茫然自失していたからね。あれは、演技をしているように見えなかった。


「確かに、あれは演技じゃなかったな」


 ラリーお兄様も同意する。お父様は、私達二人の感想に困惑を隠せなかった。私もそう。


(……国王側と王太子殿下側に溝を感じたのよね)


「あくまで、これは私の想像ですが……あの親馬鹿国王が処罰を実行した場に、王太子殿下はいなかったのでは? 時間的に、出発しててもおかしくないですしね。口にするのと、実際に処罰を下すのに時間差があっても、特におかしくはありません」


 黙って話を聞いていた宰相様が考えを口にする。


(確かに。高位貴族、それも王族がいたら慎重になるよね。まぁ今回は違うと思うけど)


「私もモリアス様に賛成だわ。だとしたら、王太子殿下って微妙な立場にいるって事になるわね。正直、捨て駒にされたんじゃないの」


 少なくとも、次代を継ぐ者の扱いじゃない。最悪、切り捨てられてもおかしくないからね。その後が面倒くさいから、そのまま帰したけど、捕虜として拘束されて尋問されも文句は言えない立場だからね。


 だって、国家間で嘘を吐いたのだから――


 だから、私とラリーお兄様が対応したの。


 そんな状況下で、何も知らない王太子殿下がノコノコとやって来た。王太子殿下は何も知らないから憤るし、尋ねる。


(怒りより困惑が勝ったから、まだ平然と対処出来たけど……本当、色んな意味で最悪だわ)


「王太子殿下は、先代の影響をかなり受けていると耳にしていますから、親馬鹿国王にとって、目の上のたんこぶのような存在かもしれません」


 宰相様が補足する。


「と、いうと?」


 私は宰相様に尋ねた。


「実は、エンドキサン国王は一度やらかしているのです。王太子時代に」


 何となく、そのやらかし映像が頭に浮かんだのは私だけかな。


 隣に立つラリーお兄様を見れば、苦虫を噛み潰したような表情をしているし、お父様もイシリス様も同じような表情をしているわ。


(皆、私と同じ映像が浮かんだみたいね)


 私は小さく溜め息を吐いてから、呆れた声で言った。


「……それって、婚約破棄? 真実の愛とか、虐めがあったとか、一方的な意見しか鵜呑みにしなくて、証拠もなしに断罪したんじゃないよね?」


「それをしたのです。学院の卒業パーティーの場で、盛大に」


「マジか……あるのね、他でもそんな事が」


(亡国が特殊ではなかった事に驚いたわ)


「当時、現国王しか子がいなかったので、廃嫡にする訳にはいかず、謹慎処分と再教育を徹底的に行なったそうです。かなり、厳しくしたそうですよ」


「それも、何処かで聞いた話よね」


 何処とは言わないけど。


(あれから、どうなってるのかな? ちょっと気になるわ)


「先代が優秀過ぎて次代が馬鹿な国は、直ぐ傍にありましたから。まぁ違う点は、先代がご存命か、そうでないかの違いですね。おかげで、馬鹿な思考は遺伝さましたから。後、王太子殿下の教育を現国王に任せず、先代自身が行なった点も大きく違いますね」


(先代の判断は大正解だったわね)


「あ〜〜だから、目の上のたんこぶなのか」


 ラリーお兄様が納得する。


「今だに影響力がある先代に対して鬱陶(うっとう)しいのに、彼に似た息子が近くで目を光らせていたから、親馬鹿国王は自由に動けなかった。だから、今まであまり問題が表沙汰にはされてなかったのね。今回、目の上のたんこぶを追い出す事にも成功したし、歯止め役がいなくなった事で、勢いよく傾くわね、エンドキサン王国は」


 ぶっちゃけ、親馬鹿国王、弾けまくってるでしょ。とても短絡的だわ。王太子殿下に対して、親としての情があるかは疑問だけど。ただ……第一王女殿下って、亡国のお花畑王族と性質がそっくりだわ。


「おいおい、物騒な事を言うな」


 お父様に苦笑しながら叱られた。


「それで、その先代って、今何処にいるの?」


 国を思うなら、そろそろ出て来てもいい頃合いなのに出て来ない。気になったので、訊いてみた。


「まさか、口を挟むつもりはないよな」


 お父様の口調がやや厳しくなる。


「そんな面倒くさい事しないわよ。私達に利益もないし、他国の問題だからね。ただ……ちょっと気になるだけよ。聖獣様が守護するベルケイド王国とこんなにも揉めていて、姿を現さないのよ、気になるでしょ」


 先代が賢王と呼ばれていたら、尚更にね。


「だとしても、他国の政に口を出すのは許さん」


 お父様に念を押されちゃったよ。分かってるって。そもそも、そこまで暇じゃないし。


「分かったわ。あっでも、屑王族達が今どうしているかは、確認してもいい? 王城の周囲には、まだ沢山の生きる屍がいるし。それが外に漏れなないか、一応チェックする必要はあるでしょ」


 イシリス様が張った結界、チェックする必要はないわ。それでも、形式的に必要でしょ。死なない身体になった屑王族達が消えるまで、生きる屍はそこに居続けるのだから――



 

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