表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
言いたいことはそれだけですか。では、始めましょう  作者: 井藤 美樹
第四章 新米王女殿下の初外交

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/47

第四十四話 新米王女殿下、嗤いながら陛下に進言する



「陛下に取次を」


 執務室の扉の脇で警備をしている近衛騎士に、私は声を掛けた。


 近衛騎士は「畏まりました」と答えると、扉を三回ノックする。直ぐに返答があった。


「入れ。……ミネリアか?」


 開いた扉の隙間から私の姿が見えたようだ。


「はい。陛下に面会を申し込まれておりますが、いがが致しましょう」


 独立してから、このやり取りをしなければならなくなった。当然とはいえ、その度に、私は一国の王女になったのだと思い知らされる。


「構わん、通せ」


「畏まりました」


 近衛騎士はそう返事をすると、一歩横にずれ、私を執務室に通してくれた。


「仕事中、申し訳ありません、陛下。モリアス様も、お邪魔しますわ」


(一応、近衛騎士の前で素はいけないわね。まぁ、今更だけど)


 散々、私の口の悪さを知っている人達だからね。


「その挨拶、なんか、背中がゾワッとするな。慣れん」


(かなり、酷い言われ方ね。失礼しちゃうわ)


 エンドキサン王国にいた時もずっとこの話し方だったから、流石に慣れたと思っていたけど、違ったみたいね。あの時も、こんな顔してたわ。


「そんな苦虫を噛み潰したような顔しなくても……しょうがないでしょ、一応、近衛騎士の前なんだから、振りはしなくちゃ」


 素直な返答に、お父様と宰相様は苦笑いする。


「振りとはっきり言ったな。まぁいい。で、ここに来たのはアレを見たのか……行動が早いな」

 

 二人共、私が執務室に来る事を分かっていたみたい。宰相様は机の端に移動する。言葉こそ交わさないが、お互い頷き合っていたからね。


 私はお父様に視線を戻すと答えた。


「薬草畑で作業していたら、空を飛ぶ魔鷹を見たのよ。エンドキサン王国からね。さては、もう一度会って、誤解を解きたいなんて言ってきたの?」


 彼らの要件なんて分かりきってる。会って、お父様を丸め込んで、何としても友好国として周辺諸国に認知させたいだけ。


(それ以外思い付かないなんて、あの大国の頂点は亡国と通じてる所があるわね。色合いは違うけど)


 会って話をしたいと言う前に、すべき事があると思うけどね。誠意ってやつを見せないと。ここまで来て、また順番を間違えたなんて事はないわよね。


「……あぁ、全く、面倒くさい奴らだ」


(ほんとにね)


 お父様も心底そう思っているみたいで、一方的に送られて来た書簡を乱暴に机に放り投げた。まるで、私に読めと言っているみたい。でも、何も言われていないのに、手を伸ばすのは気が引けた。


「ただ、会って話をしたいって訳じゃないわよね。エンドキサン王国はどういう処罰を下したの? まさか、何の処罰もせずに会いたいとは言ってきてないわよね」


(もしそうなら、会う必要はないわ。これから先、未来永劫ね。当然、国境の封鎖も解く必要もない)


「エンドキサン王国は、第一王女を北の塔に幽閉。同席していた腰巾着達は、それぞれ家を追い出され、僻地にある修道院に送ったそうだ。直接、虐めに関与した侍女は、鞭打ち十回の後王都を追われ、見て見ぬ振りをした近衛騎士は、騎士職を剥奪したらしい」


 再び、お父様は苦虫を噛み潰したような顔している。


(らしいね……お父様も疑っているみたいだけど、私も同意見だわ。あの親馬鹿にそんな事出来るの?)


 今までの経緯を鑑みても、信じる事は出来ない。


「それ、事実なの? 書くだけなら、いくらでも書けるんじゃない。私達がいないと分かっているのだから」


 信用度はマイナスだからね。彼らの事を欠片も信じてはいない。


「それに関しては、残っている影と暗部達が調べておりますのでご安心を」


 お父様に代わって、宰相様が答えた。どうやら、宰相様も疑っているようね。あの第一王女を知れば、普通そう考えるわね。


「……念のために残して来た者達が頑張ってくれてるようね。陛下、その報告を聞いてからでもいいんじゃない? この際だから、とことん、焦らしてやれば」


 ニヤリと嗤いながら、私はそうお父様に進言した。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ