18話 暴かれる陰謀と暴かれぬ策謀 後編
「で、で、で、で殿下、ぁ、ぁ...」「黙って!舌噛むわよ!」
歯を食いしばりながら、私はヴァンに口を閉じるよう命じる。
(いくら自動車が初めてとはいえ、蒸気馬車くらい乗った事あるでしょうに...)
『自動車じゃなくて装甲車ですよ』『細かいわね』
私が情けないと思いながらヴァンを見ていると、サミーが突っ込んできた。
『それに蒸気馬車で荒れ地を走ったら焼け死にますよ』『ソレもそうね』『エマ様は初体験が全部普通じゃないから』『ちょっと?!言い方!?』
まぁ...確かに蒸気馬車に乗った事はあっても、こんなに揺れた事はないでしょうね。
それよりも、サミーには淑女として大切なモノが欠けてます。月1のモノもまだ経験がないのに、初体験なんてある訳ないじゃないですか...
「どうかなさいましたか?」「何がです?」「お顔が赤いようですが?」「...何でもありません」「そうですか」
さっき私が歯を食いしばりながら話したのを見て、気付いたのでしょう。ヴァンは腹話術の要領で、私に話しかけてきました。
そんな彼の視線から、私は照れてるのを誤魔化すように
「物証は何時でも出せるようにしていて下さい」
「運転中は無理ッス!」「サミー?」「止まってからにしましょうね?」
指示出しをするも不発に終わる。サミーに振っても結果は同じでした。
(ジ―――……)
ヴァンの視線が突き刺さる。私は更に顔を赤くしつつ
「アソコ!(焚き火を指差しながら)突っ込むわよ!!」
『誤魔化した〜』『うっさい!』
モールに突貫するよう指示した。
ドルルルルゥ・・・・・・!!!
アクセルを踏み込み一気に加速した為、装甲車が唸りを上げてお姉様とカマーセ一味の間を通り過ぎ
あっ!焚き火...踏んじゃった...
まぁカマーセたちも消してきてるから問題ないでしょう。私たちは装甲車から降り、お姉様たちの元へと歩み寄る。
「何だ!?貴様たちは?!」
「不正を糾しに来ました」「不正だと?!」
すると試験官らしき者が私たちに立ち止まるよう言いながら、何者かと詰問された。
そんな彼に私は真っ向から立ち向かう。すると
「ソコにいるノース家のご令息が仕組んだ不正を問い質しに来たのですよ」
ヴァンが合の手を入れた。当然コレには黙ってないでしょう。案の定
「私が不正したと?とんだ言いがかりですね、クロヴィス叔父上」
あの男が口を挟んできた。ですが
(クロヴィス?それって確か行方不明になったノース家の元当主では...)
そう思っていると
「その名は疾うに捨てた」
「成る程?ベラム家に出入りしている叔父上に似た人とは、叔父上ご本人でしたか」
なんだか思っていた以上の因縁めいた物語が始まってしまいました。すると
「んんっ!盛り上がっている所申し訳ないんだか、先に話を整理しないか?このままでは何をどう解決すれば良いのか分からないだろう?」
お兄様が話をまとめようと動き出す。
「先ずはカマーセの「殿下と呼びなさい!」「良いのですよバトゥ」「殿下...」ふっ、彼の不正とやらを聞こうじゃないか?」「(キッ!!)」
若干の邪魔は入りましたがコチラの用意した証拠を突きつけると、カマーセはソレを手引きしたのが私だという証拠は?と惚けて来ました。
まぁ、コレは予測通り...なので私たちが証拠としたのは
本来お姉様たちに配布される筈だった野営セット
ソレが別のモノにすり替えられ、証拠品は試験官の管理する教室で見つけた
と私たちは主張。コレを受けて試験官は「デタラメだ!」と言いながらもワナワナと震えている。
「エマ?ソレが本当だとしてもこの場では証明出来ないだろう」
「確かにそうですが、お兄様たちに手渡されたモノが不正品である事は明白です」
そこでお姉様は、ワザと試験官に手渡された野営セットの袋を手に持って私に問い掛ける。
なので私はその袋を指差しながら不正品だと主張し、手元にある正規品を試験官とカマーセにチラつかせました。
その上で、試験官を見ながら煽ってみる。
「まぁ正規品に付いた指紋は既に出すべき所に出しましたので、追って沙汰はあるでしょう」
「なっ!?」「おや?どうかしましたか?」「指紋は付いていて当然だろう!」「ソレはどうでしょう?」
すると面白いくらい動揺しながら挙動不審となった。
(もう一押しですね)
そう思いながら私が次の一言を口にする前に
「(野営セットの)確認は先生がしたのですか?」「は?...はい!私がしました!」
先手を打たれました。そう思って思わず舌打ちしそうになると
「そうですか。なら、他の班の野営セットも回収しましょう」
「えっ?」「...チッ!」「ん?」
お姉様が試験官とヴァンに、他の生徒たちの野営セットも回収しようと提案してきました。
私が困惑していると
『他の野営セットから試験官の指紋が出て来なければ、今度はソレが証拠になるじゃないですか』
サミーが呆れながら私に念話する。
「成る程!流石おね、ゲフィン!「ゲフィン?」お兄様ですわ♪」
危うく違うネタバラシをする所でした。
「それで?仮にこの教師がそのような不正を働いたとしても「で、殿下?!」...それに何故、私が関与している事になるのかな?」
ですがそんな事には目も呉れず、カマーセは白を切る算段のようです。
途中で抗議しようとした試験官を手で制し、尚も言葉を続ける。
「確かにこの野営セットを納入したのは我がノース家と所縁のある商会です。ですが...だからといって、即私の手引きだと断ずるのは些か早計では?」
それに...アナタ方に手渡された不良品は何処ででも手に入る品で、何処で誰が入れ替えたのか調べようもないでしょうとまで言ってきました。
『くっ...コレだと試験官は罪に問えても、カマーセまでは』
『問えませんね。(試験官が)証言しても無駄でしょう』
結局...カマーセを捕まえる事は出来ず、この教師が独断でやった。そういうシナリオで決着が付いてしまう。
その事に私とヴァンは
「相変わらず...逃げ口上だけは一級品だな」「そのようですね」「アナタたちが余計な事してなければね」「えっ?!」
カマーセたちが先に集合場所へ向かうのを眺めながら愚痴っていたら、私たちの後ろでお姉様が腕を組んで怒っていた。
「アナタたちが持ってきた証拠品...帰還後に教師の管轄内から発見していれば、もっと効果的に糾弾できたんですけどぉ?」
「あっ...」「あっ、じゃありません」「うぅ...」「う!でもない!」「ご、ごめんなさぁ〜い!」
そしてお姉様から聞かされた内容に...ショックを受けたヴァンはその場で崩れ落ち、私は頭を締め上げられるのでした。
セシル「私、ヘッドロックなんてしたっけ?」
エマ「アレはヘッドロックと言うのですね」
リア「しとったぞぇ」
サクヤ「アレを見て新しい拷問具を製作しましたから」
一同「「「はっ?」」」
クレア「怖いですねぇ〜♪ではまた来週〜♫」
読んで頂きありがとうございます(╹▽╹)
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