15話 反省会
「それにしても...このツリガネタケってのは凄いですね」
「そうでしょ♪でも本当は乾燥させたりとか、色々加工した方が良いんだけどね」
私たちは火起こしに成功した後...サクヤが獲ってきた川魚を焼きながら、しばし団欒の時を過ごした。
「それに一応野営セットで、火起こしも出来たのだから文句は言わせないわ」
私がそう言うとモーリスは満面の笑みで応えたが、サクヤとサージェは苦笑いする。
「火打ち石で、火を起こせませんでしたが」
「ソレで石英を割って火花を起こしたわ!」
サクヤがただの石を触りながら言うので、私はソノ石で火打ち石となるモノを用意したと言い張り
「黒いだけの布を火種にはしてませんけどね」
「ソレでツリガネタケのフェルト層を拭いたし、揉みほぐしもして火口になったわ。オマケに(テイッ!)最後は焚べたじゃない!立派な火種よ!」
サージェが黒いだけの布を手にしながら言うので、私はソレを奪い焚き火の中へと焚べる。
するとサクヤとサージェは更に呆れた様子で笑った。その上
「結局ちゃんと使えたのは、このナイフだけだね」
「錆取りからさせられましたが」
最後はナイフにまで言及するので、私は反撃するべく
「そんなに言うけど...アナタたち、対策は有るって言ってたわよね?」
「うっ!」「あぁ...」「そう言えば言ってたな」
そんな二人にツッコミを入れると、モーリスが思い出しながら同意する。
眼を逸らすサクヤと視線を泳がすサージェを私が尚も睨んでいると、やがて二人は観念して
「「申し訳ありませんでした」」「許す」「「ハハッ!」」
謝罪してきたので、私は先程のやり取りも含めて許した。
まぁ実際アイツらのえげつない裏工作まで、コチラも読めていなかったのは事実である。
「それにしても...道具だけでなく、コチラの対応策にまで対策してきていたのは盲点だったね」
「私もです。多少の裏工作など実力でどうにかなると...己を過信しておりました」
反省する二人を見ながら、ソレは私も同じだと感じた。実際条件付けをされる事で、あそこまで困窮するとは思わなかった。たまたま前世の記憶で今回は事無きを得たが...魔法のあるこの世界に於いて物理法則だけで対応する知識を持つのは、この世界に生きる者たちにとって非常に困難だろう。
ソレはさておき...私はある言葉を思い出したので、その言葉を告げる事にした。
「彼を知り己を知れば百戦殆ふからず」
「...孫子の兵法書ですね」「何ですかソレは!?」
するとサクヤは真剣な表情で答え、サージェは多分自分の知らない軍事書物の名に驚愕したのだろう。
「サクヤ?その兵法書は(クランディアに)あるのですか?」
「いえ、口伝のような形で伝わっているだけです」「そう」
サクヤの答えを聞いて、私は少し感慨に耽った。
その間サージェがサクヤに食い気味に色々尋ねているが...
「サクヤ?他に何か持ってたりする?」
話の流れで伝わるだろうと思いつつ、私が曖昧な聞き方をすると
「私の祖先が大和将国から来たというのは、以前お話しましたよね?」
サクヤはそう前置きした上で、そういった書物は...あったとしても全て大和将国にしか無いと言った。
「確かに...活版印刷の技術なんて、まだ無かったでしょうからね」
「印刷も、セシル様がコチラに持ち込んだ技術ですよね?」
私が仮に書物があったとしても...ソレは書き写しのモノしかないだろうと予測して、印刷技術はまだ無かった可能性を示唆する。するとサクヤが活版印刷の仕組みに言及しだした。
だがサージェはそんな事よりも、孫子が気になって仕方ないらしい。私たちの会話に割って入り、脱線した会話を無理やり元に戻す。
「その活版印刷とやらも気になりますが...ソレよりも!その兵法書とやらは何処で読めたのですか?!いや...今直ぐ読める場所に無いなら、せめて分かる範囲でご教授願えませんでしょうか?!」
私とサクヤの顔を交互に見ながら発奮するサージェに私は
「サクヤ「嫌です」任せたわ」「今嫌だと「両方から聞きますよ!」...だそうですよ?」
サクヤに聞くよう仕向けるも、食い気味に拒否されたうえ結果は変わらなかった。
「まぁいいわ。食事を取りつつ話しましょうか」
そう言って私はサクヤから話させて、足りない部分が有れば補足すると告げる。
「そんなに大した話じゃありませんから、結局全部私が話すのではないですか」
「そんなこと言って大丈夫?話し終えた後、私が補足説明しだしたらどうする?」
なんてちょっと言葉の圧をかけたが、サクヤはモーリスにもちゃんと聞くよう言ってから余裕を持って話しだした。
「そんな大した話ではありません。心構えの一環です」
サクヤがそんな前置きをしてから話した内容を聞いて、二人はそれぞれ納得する。
「成る程...今回信号機頭は兎も角、我々はカマーセを甘く見ていたのですね」
「すみません殿下、アイツの事は俺が一番分かっていた筈なのに...」
彼を知り...その部分に言及したのだろう。
サージェはカマーセの家柄を考慮していなかった事
モーリスはカマーセの動向に予測が付けれた事
それぞれ気付いていれば対策出来ていた事だと反省した。そんな中、サクヤが改まって私に話しかけてくる。
「セシル様...汚名返上、とはいきませんが」「何?」「今回裏であの者たちが動いていたのは掴めておりました」「そうなの?!」
サクヤが語った話の内容は
裏で動いていたのがノース家お抱えのクラウン商会であり、今回野営セットを手配したのがこの商会である事。
だがその中で...今回私たちに宛てがわれたモノが、商会の手によるモノかどうかは未確認であるらしい。
「途中ですり替えられた可能性もありますので」
「ナルホドね」「あの試験管が怪しいですが、証拠はありません」
そう言ったサクヤの眼はあの試験管がすり替えたと物語っているような気もするが、私は敢えて追求しなかった。尤もソレは、サージェも同様なのだが(苦笑)
それよりも
「さて...まだ寝るには早いですが、交替で火の番をする以上二人には寝てもらいましょうか」
「セシル様?本当にその手順でよろしいのですか?」「良かったわね♪サージェ」
私が充分な睡眠時間を確保するべく立てた段取りに、難色を示すサージェ。
「不服なの?サージェ。お姫様扱いなのが」
「だから嫌なんですよ」「諦めなさい」「ぷくくっ」
そんな彼に私がちょっとした嫌味を添えると、サクヤは冷たくあしらいモーリスが笑った。
だがソレは仕方がない。個人の戦闘力を鑑みれば、当然の結果なのだから...
不貞腐れながらも大人しく私の前に座るサージェ。
そんな彼を見ながらサクヤとモーリスがテントに入っていく。
「ソレではお先に就寝させて頂きます」「お先です」
「おやすみなさい」「早く寝ろよモーリス」「分かってる」
笑われた腹いせなのか、モーリスに当たるサージェ。因みに交替順は
①火の番...私とサージェ 就寝...サクヤとモーリス
②火の番...サージェとモーリス 就寝...私とサクヤ
③火の番...モーリスとサクヤ 就寝...サージェと私
④火の番...サクヤと私 就寝...モーリスとサージェ
となる。三時間で交替なので全員6時間就寝だが、モーリスだけ最初と最後に就寝となる為キツイのだ。
「殿下」「何?」「先程の失態...改めてお詫び申し上げます」
パチパチと、燃え散る火の粉を眺めながら...
私はサージェの謝罪を受け入れる。そしてそのまま、火の番を淡々とこなすのだった。
セシル「ふふん♪しばらくはこの状態が続くかしら」
リア「どうかの?」
セシル「そう言えば...アナタ大人しいわね」
リア「別に今は何も危険はないじゃろう?寧ろ念話しる方が危険じゃ」
サクヤ「確かにそうですね」
三歳「どうしても念話に気を取られるからな」
サージェ「三歳様?!ココなら兵法書が見れるのでは?」
三歳「残念...ココと作品内では記憶の共有は出来ないのだよ」
サージェ「そ、そんな!?」
クレア「まぁその人は聞いてないから知りませんよねぇ...て事で、続きます♪」
読んで頂きありがとうございます(╹▽╹)
☆☆☆☆☆評価…可能であれば…
リアクション……お気軽にして頂だけたら幸いです♪
感想、レビュー…ハードル高いと思いますが頂だけたら嬉しいです(≧▽≦)b"




