11話 毒を喰らわば皿までも
セシル「毒を喰らわば皿までって、嫌な予感しかしないんですケド」
リア「いつもの事じゃのぅ♫」
セシル「いつもの事にしないで!?」
三歳「諦めな〜」
クレア「フラグが立ちましたぁ♪」
「ところで...どうして外食を?」
「あぁそれは今、最低限の使用人しか居ないからです」
冷静になった私がヴァンに質問すると、彼はそう答えた。納得し頷くと
「どういう事ですか?」「それはね...」
孤児院育ちのロイが質問してきたので、彼に分かるよう解説する。
「家を空ける時に使用人を残すのだけど...」
家に残した使用人には出かけている期間屋敷を維持可能な費用のみ渡して管理させている為、もしヴァンが邸宅で食事をしようとすればヴァンがその費用を建て替えなければならない。当然そんな資金などヴァンには無く、使用人達の生活費を減らす訳にもいかないので...
「殿下...ソレは嫌がらせですか?」
「あら?ごめんなさい。気が回りませんでしたわ」
私の解説に待ったをかけたヴァンと、何故今のが嫌がらせなのか分からないロイ。
そんなロイが素直にヴァンの行動を称賛すると、ヴァンはガックリと肩を落とした。
何故ヴァンが落ち込んだのか分からないロイに、私が再度説明しようとすると
「やっぱりセシル殿下に「そうよね!ヴァンの気遣いは素晴らしいわ♪」...」
ヴァンが腰を浮かせ御者に声をかけようとしたので、ソレを見た私は慌てて彼を止める。
「ちょっとした冗談ではないですか」「毎回ソレに付き合うのは骨が折れます」「あら、言うようになりましたわね?」「今は弱みを握ってますので」「...ぶぅ」「エマ様?!」
そうして私がヴァンに軽く突っかかってみると、彼は初めて強めの抗議をしてきた。なんだか少し言葉使いも砕けてきたようで...
釣られてしまったのか私も、気付けば気兼ね無く不満を口にしたようです。そんな私を見て、ロイが驚いているようですが
『サミー?』『何ですか?』『ヴァンが居た親戚の家というのは?』『...ベラム伯爵家の屋敷です』
私はヴァンとの会話が一区切りついた所で、一息吐くフリをし窓の外を眺めながらサミーに念話した。そして彼女から聞いたその家名に思いを馳せる。でも、その家がノース家を寄親とする寄子の一つだという事以外私は知りません。
(仕方ありませんね)
「そう言えば...ヴァン?」「何ですか?」「アナタの家とベラム家は、どういった繋がりなのかしら?」
私は意を決してヴァンに問いかける。すると
「ソレを知って、どうなさるおつもりで?」
「答えたくなければ、別に構いませんわ」
私を見る眼が、ほんの少しだけ冷たく光った。ソレに気付いたロイが一瞬身を硬くする。
緊迫した空気が流れるかと思いきや
「仕方ありませんね」「...?」
ヴァンは自分が元ノース家の人間で、ヴァン=クロイスという名は冒険者登録時の偽名だと告げた。
「ちょっと待って!?それだと「お待ち下さい殿下。その危惧は不要です」...本当ですか?」
そうして彼は必要な情報を私たちに吐露する。
「それでアナタはカマーセを追っているのね?」
「えぇ...叩けばホコリの一つや二つは出てくるでしょうが...」
ソコで言葉を区切るヴァン。おそらくソレでは足りないと考えているのでしょう。
私たちはヴァンから必要な情報を聞いた後、彼のお薦めする酒屋で食事を取る為店内に入り席に着く。
周りを見渡すとまだ昼下がりと呼べる程日も落ちていないのに、酒場はそれなりに盛況で...
まぁ騒がしいおかげで聞き耳を立てられる心配が無いのは有り難いですが、一応警戒は怠らないでおきましょうか。
「なにか...大きな処罰を与えれそうな動きは無いのね?」
「ありませんね。ですがソレは」「掴めていないだけだと?」
サミーに周囲の警戒を任せ私が再度確認を取ると、ヴァンはため息交じりに大きく頷いた。
「ですが彼らは...」「えぇ、いつか...」
(何かとんでもない事をやらかす)
私とヴァンはお互いそう確信するのでした。
食事の後仮眠を取ると言ってヴァンは去っていき、私たちも一旦屋敷への帰路に就く。
屋敷に着いた後、早速いつもの場所に皆を集め日課を熟す。
先ずはいつものようにお茶を嗜みながら、これからの事を考える事にした。
「さて、これからの事ですが「ちょっと待とうか」あら?どうされました?」
私がメルの淹れてくれた紅茶を頂こうとしたら、ゲビック叔父様に妨げられ聞き返すと
「いつものように?いつもの場所で?いつから工房はラン嬢ちゃんの遊び場になったんでぇ?!」
「あら?遊び場だなんて人聞きの悪い」「それだけじゃねぇだろ!?」
何故だか怒り出し日課である習い事はどうしたと喚く叔父様。仕方なく、私がどうしてココにいるか説明する。
「それでしたらちゃんとメイド長でもあるメルから、今も淑女としてお茶の作法を見て頂いております」
そう私がカップを持ったまま告げると
「エマお嬢様?お話する時ですが...カップは皿の上に置き、両手は膝の上で御座います」
「くぅ〜...そう来たか」「ありがとうメル」「はい、お嬢様」
叔父様は天を仰いだが、引き下がりはしなかった。
「それでもココにいる理由にはならねぇだろ?やるべき事をやってるとしてもよ?」
「ソレはね♪叔父様にお願いがあってココに来たのよ」「...うぁ」「うふふっ♫」
だが引き下がらずに、問い詰めた事を後悔したような顔をする叔父様に
「モールとベークを貸して欲しいの♫」
小首を傾げてお願いをする。そんな私の顔を見た叔父様は更に顔を顰めてから
「まさかと思うが「お姉様には内緒よ?」...やっぱりかよ!だが」
苦言を呈しようとしたので、私は人差し指を叔父様の口に宛てがいながら
「あの事をマルヴェラ小母様にバラしますわよ?」「!?」
小声で言葉も添えて、お強請りした。
「何がおねだりだ...強請りじゃねぇか!?」
「声が大きくありませんか?」「...くっ!」
何度か叔母様の許可無くやらかす所を見ては、一緒に誤魔化してきた私に叔父様は逆らえない。
今も叔母様の方を見て、先程の声が聞こえてないかオドオドしている。
「あの二柱をどうするつもりだ?」「ちょっとした護衛です」「ロイが居るのに?」「相手は複数ですから」
尚もウンウン唸る叔父様を余所に
「エーやん!そろそろ部屋に戻らんとセーやん帰って来んで?」
「うぁ!?」「なんよゲビック?」「何でもねぇよ!」「変なの」
叔母様が声を掛けてきた。すると先程のやり取りに気を取られていた叔父様が、驚いて声を上げる。当然訝しむ叔母様に叔父様は誤魔化そうとするが、そんなモノは通じる筈もない。
叔父様に呆れつつも私が「ありがとうマルヴェラ叔母様」と言って工房を出ようとすると、叔母様は「ええよ、早よ戻り」と言いながら私に自室へ戻るよう促す。
「じゃあ戻りますね」「ほなまた明日」「来なくても「(ジー)」...はぁ」「ではまた明日」
そうして叔母様に挨拶しつつ、叔父様にも笑顔で声をかけた後...
私はメルを伴い、自室に戻る事にした。
セシル「クレアぁ⤴?!」
クレア「私のせいじゃないですぅ〜!?」
リア「じゃが流石にそろそろ可哀想ではないかぇ?」
セシル「憐れまれるのもソレはソレで嫌ね」
三歳「贅沢な...」
クレア「それではまた来週〜」
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