9話 仕込みは上々に 後編
セシル「今度はカマーセサイドなの?!」
リア「よくやるのぅ」
三歳「アッチからの情報も必要でしょうが!?」
サクヤ「実際には妄想ですが」
三歳「せめて推測と言ってくれない!?」
クレア「始まりまぁ〜すよ(フザケ始めた)」
「戻ったか、ナジル」「はい」「で?どうだったんだい?」「...チッ!」
殿下が声をかけて下さったのに、この粗暴な男は素っ気ない態度を取る。しかも私が聞いた事に対しては、答えず舌打ちを返してきやがった。その上睨んでまで...
「ナジル?モーリスの件、報告してくれ給え」「...うぃッス」
でもそんなナジルを殿下は気にも止めずに、優しく報告を促すだけに留めている。
流石は殿下、人の上に立つお人はこんな馬鹿とは次元が違う。そんな風に考えていると
「以上ッス」「...そうですか」
要領を得ない報告が終わった。話半分でしか聞いてなかったとはいえ、あいかわらずコイツの話は理解出来ない。だが殿下はコイツの言葉を理解出来るようで
「モーリスはもう、帰ってきませんね」「ちょ、ちょっと脅せばまた「カマスじゃねぇんだ!無理に決まってる!」ひぃ!?」「おおきな声を出すんじゃないよ!」「あぁん?」「二人共お止めなさい」「チッ!」「申し訳ございません殿下」
モーリスはもう戻って来ないと言い切った。ソレはそうだろう。アイツは元々仲間じゃないし、ただ居場所が無くて殿下の側に居ただけなのだから。しかも今はドールなんかの下に就いた。アイツは頑固だったから、あの調子だと多分忠義だなんだと言い出している事だろう。この間までアタイらと一緒に悪口を言っていたのに、どの口が言うんだいって思うわ。
「それよりも...日和見していたサージェがアチラに付いたのは、誤算ですね」
「そ、それは寮が同室だったからでは?」「そんなんで味方になんのかよ!」
でも、その後の殿下の説明でアタイは納得した。流石は殿下、見る所が違う。
「ナジル、ケナス逆ですよ」「「逆?」」「サージェの入れ知恵でしょう。彼がドール家に入り込むのに、モーリスを利用した。現に、彼はずっとセシルにベッタリです」「まぁ♪そう言う事でしたのね!流石殿下、慧眼の持ち主ですわ」
アタイは今が称え時だと感じ、精一杯殿下を称えた。すると殿下はいつものように、アタイの手に触れてくる。
「今ので理解するとは...バトゥ、君も充分聡明だよ」「殿下♪」
「んで?どういう事で?」「...(ウンウン)」
そしてアタイの事を褒めて下さる殿下。だが、馬鹿と無能が殿下に説明を求めてくる。
「ひょっとしたら...サージェがモーリスを嗾けた可能性も有りますね...自分を売り込む為に」
「だから!...どういう事なんで?」「(ビクッ!?)」「ひとつ...確かめてみますか」
だが殿下はソレに答えず、一人思考を巡らす。
そんな殿下に
「カマーセ様...♡」
アタイは陶酔した演技をするのだった。
春...と言うには、そろそろ日差しが強くなって来た放課後のひと時
「あら?サージェ様ではありませんか?」
「これは...エマ殿下、斯様な所でお会いできるとは」
僕は雑貨店でセシル殿下の妹君に出会う。その後ろに控えていた騎士が、一瞬前に出ようとしたのを彼女は手で制した。
「今日はどういったご用向きで?」「今使っている羽根ペンがイマイチなので」「それであれば御用聞きでも...」「散歩も兼ねてますのよ♪」「成る程、そうですか」
そんな感じで日常会話をしていると
「サージェ?」「あら...アナタも居たのですね」「これは!?エマ様」
モーリスが僕の背後からやって来て、何気なしに声をかける。
エマ様に気付いていないモーリスへ、彼女は先程とは打って変わって冷えた声を浴びせた。
すると驚いたモーリスが慌てて臣下の礼を取ろうとするも、今度はロイが割って入りその視線を遮る。
「許したのではないのですか?」「赦してませんよ?」「成る程...」
僕はその赦すと許すの違いに納得したが、モーリスは分からないだろう。後でそっと教えてあげるとして、今はどうやってこの場を収めようかと思案していると
「おや?見た事あると思えば、どこかの馬の骨と金魚の糞じゃないかぃ?」
「「アナタは?!」「バトゥ...」「気安く呼ばないで欲しいねぇ」
同級生がソコに居た。しかもその声を聞いたからか、取巻き連中も出て来た。
ソレを見たロイが今度はモーリスの前にまで出て、僕たちを守るように立ちはだかる。するとモーリスも負けじと追従しようとしたがロイに止められた為、仕方なく斜め後方に立つ。
「(お知り合いで?)」「(昨日、少しですが...ね)」
エマ様の声音と表情で、昨日が碌でも無い事であろうと察する。
「ひそひそ話してんじゃねぇぞ!」「静かにしな!」
苛立ったナジルに声をかけるバトゥも同じだよ。
そう感じていると
「騒ぎを起こしている店とはここか?!」
そう言って店内に入ってきた衛兵らしき人影が、コチラに歩み寄ってきた。
「ずらかるよ」「チッ、またかよ!」「は、はやく!?」
すると信号機頭は手慣れた様子で裏口へと向かう。そんな彼らを見て
「手慣れてますね」「あはは...変な同級生で申し訳ない」「アレが!?同級生?!」
蔑むエマ様に僕が同じ組だと告げると、思いっきり驚いていた。
「(お姉様はあんなのと同じ教室で?)」「僕たちもですけどね」
小声で言ったその一言に僕も一言添えると、エマ様は少し照れながら「そうですか」と返してくる。
そうこうしている内に「大丈夫ですか?」と、やって来るなりエマ様に声をかけてきた衛兵。
(ん?コレは)僕がこの違和感に捉われていると
「やはりヴァンでしたか」「えぇ、まぁ(呼ばれましたので)」「呼ばれた?」「私が呼びました」
エマ様はこの衛兵の名前を口にした。しかも気になる事を小声で言った衛兵に、エマ様は躊躇無く問いかける。そうしたら...どこからかやって来たメイドが一人、その質問に答えた。
「ここでは目立ちます。場所を移しましょう」「そうね」
この衛兵の提案に僕たちは従い、少し離れた路地裏へと入る。
ソコで簡単な自己紹介を終え、話の続きをする事になるのだがその前に
「この前は...誠に申し訳ありませんでした」
「事情は既に聞いている。今は話を進めよう」
モーリスが衛兵に謝罪したが、どうも先程のエマ様とご同様のようだ。
そうしてヴァンから、僕たちは事情聴取とは少し違うやり取りを行う。だが誰もその違和感に気付かない。
一通り聴取が終わったのを見計らい、僕は彼を呼び止め一つだけ質問する。
「ヴァンさんでしたか?」「あぁ」「アナタは何故、単独で動いているのですか?」
その問いに対して、彼が僕に向けた視線は...
セシル「最後は何?」
サクヤ「ミステリーでも始める気ですか?」
三歳「たまには違う趣向があっても良いじゃない!?」
リア「ココは違う手法だらけではないかぇ?」
クレア「続きまぁす(まだフザケてる)」
一同「「「「早くない?!」」」」
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