26話 エマの冒険 伝説が今、甦る編
サミー「何ですか?このタイトル?」
ランシェ「ダメダメダメダメ...」
三歳「『エマの世直し聖女伝説』に(作品名)変えるかw 」
セシル「洒落にならないわ」
セバス「アレ?バカンスは?」
三歳「流石悪魔族、容赦ねぇ...」
クレア「始まります♪」
「あの時、私が傍を離れていなければ」「そんな事をしていたら、焼死者の数がどれだけ増えていたか...アナタなら分かるでしょう?」「..それは、そうですが」
教会施設から衛兵詰め所へと向かう最中でも、ヴァンはまだ取り留めのない...反省にもならない後悔を口にしているようだ。意外と女々しいな...なんて思っていると
「おい、あれ...」「本物?」「偽物な訳ねぇだろ!俺ぁ見たぜ!?」「あぁ俺も見た、傷口がみるみる塞がっていくのを...」
市井の民から癒やしのチカラについて、見たものが居る気配を私は今ヒシヒシと感じている。
気の所為だと思いたい。思いたいが...
「あれってやっぱ、聖女の力じゃ「馬鹿!聖女様って言えよ!」あぁ、そうだな」
勘違いじゃない!しかも...聖女様?!
(だめだめだめだめ...)
「どうかなされましたか?」「いえ、なにも!?」「どうされました?」「プククッ...」
私が下を向き、お姉様への謝罪の種が増えた事を懸念してると...サミーが口元とお腹を抑えながら、笑いを堪えていた。
同行していたロイがそんな私たちを見て気遣ってくるが、今はソレどころじゃありません。
「ありがたや...これも初代様のお導きではなかろうか」
「そうかもな?おっかぁ!」
(だめだめだめだめ...)
今度はお婆さんが私を見て拝みだし、その息子さんでしょうか?
お願いですから肯定しないで下さい。
「あれが...公爵家のお方...セシル様?」「おい!そこの者?!セシル様はご嫡男であるぞ?ここに御わすのはセシル様の名代、エマ様である!以後間違える事の無いように!」「ははぁ...!」
やった♪これならお姉様の名声が...ってそうでしたね。お姉様ではなく、外ではお兄様なのですね...
ロイのおかげでバカな言い訳をせずに済みました。ってそれどころではありません。
私はこれまで一度も姉をお兄様と呼んだことは無く、当然練習は疎か認識すらしてきませんでした。
(その代償が、今来てしまった)
そんな事を考えながら俯いて歩いていると
「おぅ〜い、どしたぁ?大聖女様よぉ〜?」
あり得ない台詞が聞こえてきました。私はこのぶつけようのない憤りのはけ口を
ズカズカズカズカズカズカ・・・・・・ドスッ!
「うっ!?...以外と良い拳持ってんじゃねぇか?」
「(キッ!?)ジィ―――…」「おぃおぃ睨まねぇでくれよ?」
真犯人に叩きつける事にした。
お腹を擦りながら私の顔を覗き込む不届き者に、私は中高一本拳を見せながら
「今度は手加減せずに打ち込みましょうか?」「げぇ!?」
私が恫喝すると、ギルド長は焦った顔つきで一歩引きながら
「道理で痛みが引かねぇ筈だぜ!嬢ちゃん何処で暗殺拳身に付けたんだよ?!」
「空手です。暗殺拳と一緒にしないで下さい」「カラテ?」「護身術ですよ」
私の言葉に何やら知ってる風な装いを見せるベンだが、正直そんな事はどうでも良い。
「それよりも、(大聖女)って何?」「は?」「だから(大)聖女って?」
耳が遠いフリをするベンに、思わず後半部分だけだが大きな声を出してしまった。すると
「あぁ!勿論宣伝してきたぜ!伝説の聖女様ここに降臨!ってなぁ♪わはははっ!」
「なんて事してくれてるのよ!?そんな事、頼んでいませんよ?!」
「まぁ頼まれちゃいねぇな」
聖女騒動の黒幕はコイツだった。『違いますよ?』『ウルサイ』
見られていた所為で聖女と呼ばれ始めた。ソレは仕方無い。でも
「宣伝するなんて、信じられない!」「声、声出てます!」
幸い下を向いていたので誰が言ったのか、ハッキリとは分からなかったのでしょう。
数人がチラチラと私を見てますが、許容範囲内です。
『ソレを被害甚大と言うのでは?』『......』
私はサミーの言葉に同意するのも癪なので、黙秘する事にしたのですが
「これでハッキリとしましたね」「ん?何がだ?」「惚けないで下さい」
一通り騒いだせいか逆に落ち着いてきた為、私はギルド長の企みに気付く事が出来た。
「アナタ...私を広告塔にするつもりね?」「ほぅ?」
どうやら図星のようですね。私はベンの眉がピクリと動く所を見て、確信を得ました。
「公然の秘密については、冒険者ギルドで話しましょうか?」
「まぁ、いいぜ?って言うか...碌に登録方法も知らなかった奴が、どうして裏事情にばっかり詳しいのか...ソコんとこも聞かしてくれや?」
これが、公爵令嬢とギルド長の化かし合いでしょうか?
そんな言葉が頭にふっと過ぎりながら、私たちは冒険者ギルドへと向かう事にした。
「ランシェ!じゃなかった...エマ、やっと戻ってきたか」
「おね...ゴホンッ!...お兄様、どうしてここへ?」
今回の事件に関する報告書を仕上げるのに衛兵詰め所に行くのを後回しにして、ヴァンには戻ってもらった。ロイは何かあった時の伝達要員として私に就くそうだ。
なので私はベンと共に冒険者ギルドに来たのだが...ソコには何故かお姉様が居た。
「セバスから報告を受けて、急いで来たのだよ」
「そうでしたか。ご足労頂き、ありがとうございます」
私と会話しながら静かに歩み寄ってきたお姉様が、私の肩にポン...と軽く手を置き
「外の騒ぎが何なのか教えて貰おうか?」
「お、お兄様?」「にこっ(ぎゅぅ〜)」「(いったぁ〜い!)」
一言添えると同時に、私の肩を掴む手に力を込めてくる。
「二階の応接室を借りても良いかな?」「どうぞ、お使いくださいませ」
「ありがとうネメリア」「名を憶えて頂き光栄でございます」
お姉様に声を掛けられたネメリアが私の時とは違う態度を取ってるのを見て、思わず眉根を寄せてしまった。そんな私を見て笑うベンにお姉様は満面の笑みで話しかける。
「ギルド長、君にも同席願おうか。断れないだろう?」
「ちっ、しゃあねぇなぁ〜」「ギルド長?!」「はいはい!」
だが、ベンはそんなお姉様の圧などお構い無しな態度を取る。ネメリアがソレを咎めるが全く気にも止めない。大股で先に階段を上がり応接室の扉を開けると、早く来いとでも言いたげな態度で立ち尽くす。
そんなベンには目もくれず...お姉様は私の手を取りながら、優美な姿勢で一歩一歩階段を登る。
私の手をぎゅぅ〜と握り締めながら...
そんなお姉様の顔を見上げながら、私は冷や汗を抑えつつ...ニッコリと微笑みながら
「そんなにシッカリと手を握らなくても大丈夫ですよ?」
「遠慮するでない我が妹よ。こんな時くらい、兄らしくさせてくれ」
許しを請おうとしたが、駄目だった。
三歳「良かったな♪バカンス行ってたら出番に間に合わなかったぞ」
セシル「そんな訳ないでしょ!」
ランシェ「やっと開放される」
サミー「これから絞られるんじゃないの?」
ランシェ「...(そうでした)」
クレア「続きます♪」
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