21話 エマ 初めての冒険? 偽りの訪問編
ランシェ「なんか...初めてのおつかいみたい」
セシル「前回はくっついて来ただけだったからね」
三歳「よくあんな長時間隠れていられたよな?」
ランシェ「屋敷でいるよりは楽しかったですよ?」
一同「「「...」」」
クレア「始まります♪」
「着いたぜ、ラン嬢ちゃん」「ありがとうゲビック小父様」
「商会は使えないと言いながら結局使うのね」「敷地だけですよ」
セバスの運転で、インバスにあるクードル商会の敷地内に自動車を止める。
すると助手席に乗っていたゲビックが先に降りて、私たちが降りやすいよう後部座席の並行扉を開けてくれた。
私がゲビックにお礼を言っていると、反対側の並行扉をサミーが開ける。
そうしてマルヴェラが息子を抱えながら自動車を降りる時、サミーに状況説明されていた。
「自動車と蒸気馬車の違いを悟られてはいけませんからね。マルヴェラ小母様」
私は偽装された排熱筒を見ながら、マルヴェラに笑みを浮かべ伝えた。
すると「そうでしたわね」と少し照れながら誤魔化すように息子を見る。
「その言葉遣いずっと続けんのかよ?」「当たり前やん!この子の将来の為や!」
そんなゲビック夫妻を見ながら私は笑みを苦笑いに変えつつ、商会の中に入る。
「一息吐くのは商会直轄の宿屋に移動してからにしましょう」
私の指示に従って皆は荷物を卸さず食事処兼宿屋に向かうべく、直通路を通る。その先にある半地下部分を抜け、連結塔に到達すると...
「...!?エマ様!もうこちらに...って自動車で来たんですね」
私を見つけた商会長が、挨拶もそこそこに駆け寄って来た。
「今着きましたわ、パパ♪」「セシル様の真似はおやめ下さい」
「あら?お姉様を家族だけの幼名で呼ぶなら、私の事もランシェって呼んで下さいな♪」「そんな事出来ませんよ...」「ふふっ♪冗談です」
冷や汗なのか仕事に追われてなのか分からないが、汗を拭きながら答えるアレクに私は本音ではそう呼んで欲しいと思いながら嘘をつく。
「丁度良かったわパパ「まだ言いますか?」実の父をパパなんてもう呼びませんから...ってそんな事より、お部屋に案内して下さい」「...分かりました」
そんなアレクをからかうも、その突っ込みに私は少しげんなりしてしまった。だが改めて望みを伝えると、アレクは了承すると共に手近な人物に声をかけた。私はその人物を見て
「ママ〜!お部屋に案内して♪」「げぇ?!偽娘2号!?」「酷いよママ〜」
思い切り抱きつくと、今年の春に結婚したアレクの妻が心底嫌そうな顔をした。
サリアがドゥ・ラ・グラースへの直通路を行き、従業員通路から土産売場経由で宿の受付に出る。私たちはその後について来た訳だが
「毎回こんな回り道をしなきゃ駄目なの?」
とサミーが愚痴を言うので、私は彼女の耳元で囁いた。
「『言ったでしょ。隠密行動には偽装工作が必要だと、ね?』」「『ひぃ!?』」
『器用な事しないで下さい!』『アナタもやったじゃない』
『わざとじゃ無いです!?』『ふ〜ん?』
そうやって宿泊名簿に記入しているサミーの耳元でイタズラしていると
「やっぱり姉妹なんだぜ」「そういう所セシルに似んでええのに」
ゲビック夫妻にジト目で睨まれた。そんなマルヴェラに
「言葉遣いがいつも通りですよ」「うっ!?」
一矢報いる事で少しだけ溜飲を下げる。
「コチラへどうぞ」
そんな馬鹿なやり取りをしている内にチェックインも終わったようだ。
ドゥラグの従業員に部屋まで案内してもらい荷物を置いた後、私はサミー経由で皆に集まってもらった。
「先ずは二手に分かれましょう。私は冒険者ギルドに行くので、皆さんは衛兵の詰め所に行って問題の家族の居場所を聞いてきて下さい」「「「「「...は?」」」」」
何故かモール以外全員聞き返されたので、私はもう一度皆に同じ事を伝えた。
「先ずは二手に分かれましょう。私は冒険者ギルドに行くので、皆さんは衛兵の詰め所に行って問題の家族の居場所を聞いてきて下さい」「誰が二度言えって言いましたか!?」「ぶはっ!」
セバスが何故か笑うも、サミーは半ギレで私に突っ込みを入れる。ソレを見ながらゲビック夫妻は首を横に振っていった。
...が、私はここで折れる気はないのだと、皆に分かってもらうべく言葉を続ける。
「今を逃せば、次にいつインバスに来れるか分かりません。冒険者登録するには、今しかないんです!」
私がそうやって力説するも
「気持ちは分かるが、公都で出来ない事をインバスでやる訳にはいかねぇなぁ」
「ゲビック叔父様!」「諦めなさいな、小ぶりの姉御」「またそうやって子ども扱いっ...」
ゲビックに反対され、セバスにまで...しかもまた子ども扱いされ、思わず激昂しそうになった。
だが、今回は私にだって考えがある。
「ゲビック叔父様はいつも私を【ラン嬢ちゃん】と呼びます」
私のこの一声でサミーは「うぁ〜…」と声を上げた。
同じ悪魔族だからか、セバスもサミーの反応を見て天を仰いだ。
そんな二柱を見て何かを感じ取ったのだろう。
「やっぱセーやんの妹やね。悪巧みに余念が無いわ」「褒めるんじゃねぇ!」
マルヴェラがニヤリと不敵な笑みを浮かべるも、ゲビックは反対のようだ。
「そんなモン認めたら後で責任を問われるのは俺じゃねぇか!?」
その言葉を聞いて何故か今度はセバスがニヤッとする。ソレを見たサミーがとうとう肩を落とした。
私はこの時、ゲビック以外味方にした。なら
「分かったわゲビック叔父様」「お、おぅ...分かりゃあ良いんだよ」
そう言って素直にゲビックの言葉に従った。この時は...
「ドール家令嬢、エマ様の訪問である。事前の連絡は受けているな?」
「「承っております!どうぞ中へ!」
セバスに問われた若い衛兵が、緊張した面持ちで応える。そのまま詰め所奥へと案内しようとする若い衛兵に私が「良しなに」と笑顔を向けると
ゴチッ!「あいたっ!?」「大丈夫ですか?」「鍛えてますから!」
余計に緊張させてしまった。私が声をかけると更に硬くなり、両手両足が同時に動いている。
「ロイ!代われ!」「は、はい!先輩」「お待ちを」
そんな若い衛兵に、横柄な態度で割り込んできた衛兵の腕を私は掴む。
「私たちを案内するのはロイです。アナタではありません」
そう私が告げ、いけ好かない感じの先輩と呼ばれた衛兵の腕をロイの肩から外した。
「案内を続けて下さい」「...」「ロイ?」「は、はい!」
私が再度声をかけると、緊張から解放されどこか誇らしげになったロイが
「コチラです!」
と元気に奥の扉を開けた。
「ありがとうロイ」「私こそ感謝の念に堪えません!」
私は紅潮したロイの顔をみながら「ふふっ」と笑うとロイは照れくさそうに俯いてしまった。だがそれでも私たちが入室すると、ちゃんと扉を閉めてくれた。その時
「公族でも王様じゃ無いだろ」
あの意地悪そうな先輩が嫌味を言って来た。その時ロイの顔色が変わったのが気になったが
「わざわざご来訪頂き有難う御座います」
ここの詰め所の長官だろう。あの時の一家について、現状分かっている事の報告をしてくれるようだが...
私は何故かこの時、謂れのない不安に取り憑かれ始めていた。
三歳「やったか」
ランシェ「まだやってません!」
セシル「まだでしょ?」
サクヤ「血は争えませんね」
リア「そんな事よりこの展開じゃとしばらく先までセシルの出番は無いの」
セシル「!?!?!?」
クレア「気付くの遅いですぅ〜♪」
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