19話 改変されていた過去
「お嬢様が前世では市井の身だと言うのは本当ですか?!仮にそうだとしても、不自由のない富裕層だったのではないんですかぁ?」
クレアの問いにリアが答える。
「どちらかと言えば逆じゃのう?貧乏とまでは言わんが...いや、貧しくなかったのは国の在り方が良かっただけで...公国で同じ環境なら、間違いなく飢えていてもおかしくない家庭環境ではあったかの?」
「そこまで詳しく話さなくても「なら自分で「お願いします!」やれやれじゃのう」テへッ♪」
クレアに対するリアの返答に私が不満を漏らすと、リアが自身で話すかと言ってきたが即座にNoだと切り返す。リアが私の意を汲みその都度細かな変更、というかニュアンスの違いを汲み取ってもらいながら説明してもらうのが一番効率が良いのだ。
『本音が漏れとるぞ』『ついうっかり...』『毎度の事ではないかぇ』
呆れ顔でコチラを見ながら突っ込みを入れてくるリア。そんな私たちを観ている視線に気付いたリアは
ん゙ん゙っ!?
咳払いを一つ交えてから、私の前世を語りだした。
まず最初に、前世の記憶は曖昧で名前すら覚えてない事
ただ日常の出来事は何となく覚えていた為、男であった事や勉学、仕事等も何気無く覚えていた事
またバエルが指摘した医療知識等は、病院と呼ばれる施設を利用した時等にたまたま知った程度だと言う事
これらを告げた。
それから娯楽として、テレビや映画と呼ばれるモノにも少し触れた。これの説明が無いと、我が青春の教典【水◯黄門】は語れないのだ。
余談だがこの時、情報統制の方法としてテレビが使われていた事も捕捉として加えた。
まぁ...この余談の方に、皆の注目は集まったのだが...
「そのテレビ...と呼ばれるものは為政者にとって、諸刃の剣とならんか?」
「バエル、そこに興味を持っても詮無き事よ」「そうでしょうか?」
「クランディアにあるまい?」「それはそうですが...」
バエルがテレビの危うさを指摘するも、リアが在りもしないモノに危機感を募らせる事に意味はないと一蹴する。だが、バエルとサクヤは無言でゲビックを見つめている。
「無理ですぜ。流石に理屈の分からねぇモンは作れねぇ」「...だろうな」
そんな視線にゲビックが答え、バエルは同意した。
「それにしても...セシル様が前世で得た知識が、一般教養の範疇だと言う事が信じられません」
「まぁ...元々日本人の識字率は地球でも群を抜いていたけどね。戦後、学力テストを国別で行なったモノでも...「セシルよ、それは必要な情報かぇ?」...無いわね」
サクヤの驚きに私が調子に乗って答えていると、リアに怒られてしまった。
『何の為に我がお主の前世を語ったか、忘れるでない』『...そうね』
尚もリアに睨まれている私を見ながら、サクヤが言葉を続けた。
「セシル様、その日本人と言うのはこういったモノを得物にしておりませんでしたか?」
シュルシュルと音を鳴らし、サクヤが見せてきたものは
「コレ!?日本刀じゃない!?」「やはり」「...どうしてこれを?」
見知った武器だった。そこでサクヤが語りだしたのはサクヤの知る日本人と悪魔族の話だった。
公国より、帝国よりも遥か東に位置する東国...その国名は伝わらず失われたらしいが、首都は【東都】と呼ばれていたらしい。
そこからこの元クランディア王国に移り住んで来たのが、サクヤの母方の血筋で刀は東国の主武装だと言う。
「見せてもらっっても?」「えぇ、どうぞ」
私はあっさりとOKを出したサクヤに日本人の気質は感じられないなと思いつつ、刀を手に取り鞘から抜き出した。そこには美しい刃文は無く...
「鋳造品ね。コレは鍛造品に見られる刃文が無いわ」
そう言って私はゲビックにも見せる。
「使い込まれてはいるな。だが、これは...」「少々お待ち下さい」
そう言ってサクヤが先程紐解いた時、何気に後ろ手に回した日本刀と思しきモノをそっと抜き放ち刃文をコチラに向けてきた。今度は私に触らせる気は無いようだ。
そして私が見たのを確認したら、直ぐ様鞘に納めてしまった。
「先程お見せした刀は鍛錬用です」「だろうな」
私とサクヤの会話を見ながら、ゲビックは鋳造品の刀に一言添えてサクヤに返す。
「それで、サクヤは私に何を言いたいのかしら?」
「その前に、セシル様の知る日本人とは黒髪黒目ではありませんか?」
私の問いに答えず、逆に問う事でその答えの一端を見せてくるサクヤ。
「あなたは何を「私の母の祖先は日本人です。転移してきたらしいですよ?集落ごと...」!?それは...」
私がその内容に憶測を飛ばす前に、答えたサクヤが言った言葉が皆を驚愕させた。
だが、驚く事はそれだけでは無かった。
「セシル様の父上...フェルナンド様が、日本人は悪魔族の元締めだと言った事を覚えていますよね?」
「あなた、母が惨殺された場所に居たの?」「あれだけの大立ち回りですよ?」
サクヤの言葉は、あの場に自分も居たと言ったも同然の言葉だった。
「私が見たのは、丁度セシル様が鉱山から弾き出されて来た所でした...」
暗に救援には間に合わなかったと、含みを持たせた言い方だと感じたが
『そこは追求するでないぞ』『分かってるわ』『そうかぇ』
リアの言葉を聞きいれ、落ち着きを取り戻すよう試みる。
沈黙した私の態度を見て、今度はバエルが口を開く。
「セシルよ...フェルナンドは悪魔族の元締めが、日本人だと言ったよな?」
「えぇ、言ったわね」「その言葉の意味が...シャドウイーターを悪魔族にした事だとするなら、的外れと言えよう。なぜなら我等に悪魔族の概念を伝えたのは、金髪碧眼の男だったからな」
バエルが最後に言ったその言葉は、衝撃と共にある事実を指し示していた。
「遥か遠くに居る日本人の末裔を貶めたい?それとも...」
「お主のような転生者を...と言う可能性もあるの」
その真意は全く分からないとも言える。
「どちらにしてもセシルの父、フェルナンドは誰かに踊らされておるだろうな」
その言葉を聞いて、私はサクヤに一つ尋ねてみる。
「サクヤ?アナタあの場所に居たのなら、父が追っていた悪魔族を見てないの?」
「先程申し上げたように私が到着した時には、既にセシル様とフェルナンド様は交戦中でございましたよ」
サクヤの回答を聞くと同時にバエルの方を見てみたが、首を左右に振りながら
「我はその場には居らんかったよ。後程報告を受けただけでな」
バエルはそう答えた。
「結局...コッチにちょっかい掛けてくる悪魔族に、有効な手立ては無いのね」
残念ながら私の質問に答えるものは、この場に誰も居なかった。
セシル「悪魔族ってハイディングだけは得意よね」
バエル「かくれんぼって言わないでくれるかな?!」
サクヤ「バエル様?後書きには来ない事をお勧めしますよ?」
クレア「そうですよ!?ミームにされちゃいますよ?!」
三歳「クレアは自分の出番が減るのが嫌なだけじゃないのか?」
リア「出番と言えば...居る筈なのにずぅ〜っと台詞の無い奴がおるぞぇ?」
ゲビック&アヴェイル「「俺か?」」
モール「「俺たちだろ!」」
ヨーマン「僕ですよ!」
一同「「「「「「居たの?!」」」」」」
ヨーマン「(喋ってないケド、書類整理したり通学時の馬車の手配とか僕がやってるのに...)」
一同「「「「「「あぁ〜…」」」」」」
クレア「続きます♪」
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