第七十三話 報告
「エルシーさん、そう言う話をしてるのではないのだ」
国王は静寂を破り、エルシーへと回答をする。
しかし、エルシーは国王の言葉が理解出来ず首を傾げている。
「私から説明させていただきます」
エルシーでは説明が出来ないと思い、リフレが口を開く。
エルシーは基本的には脳筋なので、言葉での説明は苦手だ。
リンネたち三人の幼馴染では、そう言った役はいつもリフレだ。
「確かに調査に向かった段階では、エルシーさんの力はホロさんに遠く及びませんでした。しかし、ノンヘルン魔人領に入って一番初めに立ち寄った集落、ヴァンパイア族の集落でノンヘルン魔人領についての現状を知る事となり、ヴァンパイア族であるエルシーさんが魔王を倒すという事になりました」
「ちょっと待ってくれないかリフレさん。エルシーさんがヴァンパイア族?」
「はい。エルシーさんのお母さんが先代魔王で、エルシーさんはその先代魔王と剣聖の間に生まれた子という事になります」
「ふむ、意味がわからんが、話を進めてくれ」
「はい。それで人間が倒すよりヴァンパイア族が倒した方がいいだろうという事で、エルシーさんが倒すという事になり、そこから特訓が始まろうとした時、エルシーさんのお母さんが里帰りという事で私たちの前に現れたのです。それで、ヴァンパイア族の血を摂取することで力が増すようで、エルシーさんはお母さんの血を摂取し、全属性10000の究極級魔法師になりました」
「全属性10000だと!?交流戦時点のジーナを上回っておるではないか!」
「交流戦時点?それではジーナさんもすでに究極級魔法師になったのですか?」
「ふむ。今のジーナは全属性20000らしいぞ。そこにいるクロエも今は光属性は20000と聞いておるぞ」
「クロエさんもですか。それで続きになりますが、究極級魔法も覚えたエルシーさんの力でホロさんを倒す事に成功しました。そしてその後は私が交渉して平和条約と言った流れになります」
「ふむ。先ほどの内容を交渉と言うのかはわからんが、とりあえずは懸念の一つのノンヘルン魔人領に関しての問題が解決したのは喜ばしい事だ。しかし、魔力付与値が10000を超す魔法師がバーバリアン王国に比べるとちと多すぎるのは問題じゃが、まあ誤差の範囲かのう」
「懸念の一つ?他にも何か問題点でもありましたでしょうか?」
「先日、ジーナが魔族と交戦をしたらしいのじゃ。幸い四級魔族だったこともあり、ジーナでもギリギリ勝てた様じゃが、伝承によると魔族がこの世界に来れるようになるには魔神の力が必要との事じゃ。伝承通りであれば、魔神が新たに生まれたという事になってしまうのじゃ」
「魔族ですか?エルシーさんのお母さん、元魔王のエヴァおばさんでも三級魔族にギリギリ勝てた程度との事でしたが…。エヴァおばさんに聞きましたが、ミヤビ・ルルメルクさんと言う方はご存命でしょうか?以前に魔神を倒したことのある人物とお聞きしましたので」
「たしかにミヤビ・ルルメルクは存在するし、現在も死亡等は聞いておらん。しかし、勇者ミヤビ・ルルメルクはどこにいるのかはわからん。突然現れ突然いなくなり、実際に見た事があると言った事例も確認は出来ておらんのじゃ。それよりも三級魔族に勝っただと?エルシーさんのお母さんはそれほどに強いのか?」
「はい、歴代最強と言われた魔王らしいですよ。ただ、三級魔族であれば今のエルシーさんと同等の力との事でしたので、三級魔族までなら対応も可能かと。それにリンネさんもいますのでそれ以上の魔族にも対抗出来る可能性はあります」
「まてまて、エルシーさんは全属性10000と言っておったではないか。それではせいぜい五級魔族にしか勝てんであろうう」
「そうですね、状況も状況なので、こちらの件も報告すべきですね。あまりにも規格外かと思いますので、報告をするか迷っていましたが、今回の調査の後に起きた事も報告をさせていただきます」
「調査以外に何があったのじゃ?」
「私たちはノンヘルン魔人領の件が終わった後に、ノンノ村へと寄り道をして戻ってきました」
「ノンノ村?あまり聞かぬ地よの」
「私たち三人の生まれ故郷です。そこには先ほどお伝えした魔王エヴァおばさんに加え、私のお母さんであるシャルル・ウォーランド、旧名シャルル・ツー・ユグドラシルがいました」
「ユグドラシルじゃと!!リフレさんはユグドラシル神国の王族なのか!?」
「いえ、お母さんは家を出ていますので元王族です。私は生まれた時からただの村民です。それで、ハイエルフであるお母さんに魔力回路循環を良くしてもらう事で、私たちもさらに力を増しました」
「ふむ。それで現状のリフレさんたちの魔力付与値はどれほどまでに上がっておるのじゃ?」
「私は闇属性は使えませんが、木と風以外は9000です。あと木と風は100万です」
「100万じゃと!?」
「私のだけでそんなに驚いていたら、身が持ちませんよ」
「つまりは、他の二人もそれに近いという事じゃな」
「むしろ、戦闘に置いて言えば私は弱いほうですよ。エルシーさんは全属性50万、リンネさんは全系統2000万です」
「マジか…」
国王は口をパクパクさせ、それ以上何も言えなくなっていた。
そして、同行で来ていたクロエは、何かをブツブツ唱えていた。
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