第五十七話 交流戦②
「それでは副将戦を始めたいと思います。両国副将は前へお願いします」
シルビアン王国副将:【初級】リンネ
バーバリアン王国副将:【究極の人形師】フィン
「資料で見た限り、お前は初級魔法しか使えないようだな?それで何でお前が代表なんだ?」
「俺がそれなりに強いって事だ」
「まあいいさ。俺様の究極合金人形の前には何も出来ないだろうしな」
「人形での戦闘か。じゃあ俺も人形で戦うとするか」
「お前は初級魔法しか使えないんだよな?それで作れる人形は小型人形だけだろ?それでどうやって究極合金人形に対抗するつもりだ?」
「多めに魔力を注げば小型人形も強くなるんだが、知らないのか」
「魔力を注ごうが所詮は小型人形。限界まで魔力を注いだ究極合金人形に勝てる道理がどこにあるんだ?」
「口で言ってもわからないようだな」
「それでは両名準備は良いですね?副将戦開始!」
「究極合金人形」
フィンの作り出した究極合金人形は人型だ。フォルムは非常に美しく、シルエットだけを見れば人間と全く変わらない。
「小型人形(100万)×5」
リンネもフィンに習い人型の小型人形を作り出した。
同じと言っても俺が作り出したのは手のひらサイズの小人型を5体だ。
「ずいぶんと小さい人形だな。そんなのが5体いたところで、どうやって俺様の究極合金人形に勝つつもりだ?」
「口で言ってもわかってくれないみたいだな。行け小人一号~五号」
小人一号は頭部、二号は右腕、三号は左腕、四号は右足、五号は左足に向かってジャンプした。
「お前の小型人形がどれほどの物か見てやろうじゃねえか」
「良いのか逃げなくて?別に逃げてもすぐに追いつくがな」
「生意気な奴め。小型人形の攻撃を受けたら、次の瞬間に反撃して一瞬で終わらせてやるさ」
究極合金人形は直立したまま小型人形の攻撃を避けるそぶりも無く止まっている。
その究極合金人形の頭部と四肢に向け小型人形がそれぞれ体当たりをしていった。
その結果、究極合金人形は頭部と四肢を消滅させ、そこに残ったのは究極合金人形の胴体部分のみ。
カランコロンと音を立てて転がる究極合金人形の胴体部分をみながらフィンは
「あああああああっ……あり得ないあり得ないあり得ないあり得ない」
「いや、あり得ないなんて言われてもな、実際に究極合金人形こうなった訳だしな」
「一体何をしたんだ!どうして究極合金人形が小型人形如きにやられるんだ!?」
「どうやったと言われてもな、魔力を100万注いだ以外特に何もしていないんだがな」
「ひひひひひっひゃ100万だと!?そそそそんなバカげた魔力付与値なんて聞いた事が……」
本来なら100万なんて魔力付与値など誰も信じる事など無いだろうが、現実として目の前で究極合金人形を小型人形が倒してしまった。
初級魔法で作った人形が特級魔法で作った人形を倒すなどあり得ない事だ。
しかし、目の前でその現実を目の当たりにしてしまい、魔力付与値が100万だということ以外に説明も出来ず、フィンはその後も頭を抱えてブツブツと何かをじゃべり続けていた。
そして、そんなフィンの状況から続行不可能とマルスが判断し、副将戦は俺の勝ちという事になった。
「なんなのよ!ありえないでしょ!?副将と中堅の子なんて私より強いんじゃない?」
シオンは今までの試合を見てきた中で、特に中堅と副将に関しては自分以上の実力を感じながらもジーナを睨む。
その目線の先にいるジーナは至極勝ち誇った表情でシオンを見るものだから、シオンもさらにどうしていいのか分からなくなり
「ジーナ!あんた達は何なのよ!たったの一年で何があったって言うのさ」
「私たちはみんな、副将のリンネ君の練習法で練習しただけだよ。特に特別な事なんてしないで、ただただ地道に努力しただけだよ」
「だからって、副将と中堅の子なんて、私より強いでしょ!私だってバーバリアン王国の魔法師帝!それより強いなんて、あり得ないでしょ!」
「副将のリンネ君に関してはたぶん私よりも強いよ。あの子はちょっと規格外だからさ。中堅のエルシーちゃんにしても、現時点で私に近い力で、近いうちに抜かれるんじゃないかな?でもほら、人間の魔法師界の将来も安泰じゃん?」
「中堅の子より強いジーナにどうやって私が勝てるのよ?」
「それはわからないよ。魔法の相性もあるし、やってみないとね」
「それでは大将戦を始めたいと思います。両国大将は前へお願いします」
シルビアン王国大将:【飽くなき探究者】ジーナ
バーバリアン王国大将:【天才】シオン
「それでは両名準備は良いですね?大将戦開始!」
大将戦は先の四戦に比べ、非常に肉薄した試合になった。
ジーナは持ち前のスピードを生かし、ヒット&アウェイを繰り返し、一撃を繰り出してはすぐに距離を取り、相手に反撃の隙を与えずに試合を運ぼうとする。
対するシオンは天才と呼ばれるだけあり、ジーナの全ての攻撃に対して反応し最適解の答えを導き出して反応する。
しかし、いくら最適解の答えを導き出していても、その全てに身体が反応出来ずに徐々に削られて行ってしまい、最後に大技を放つもジーナにはかわされてしまい、結果としては無傷でジーナが勝利した。
こうして、五戦全勝でシルビアン王国が交流戦の勝者となったのだ。
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