第五十八話 新たな旅立ち
交流戦の翌日、ジーナとクロエと俺は王城へと呼び出されていた。
シルビアン王国の国王、アレク・フォン・シルビアンから直接の呼び出しだ。
「久しいのうジーナ。先の交流戦はよくやった」
「ありがとうねアレクさん」
「おぬしは相変わらずよのう。それで今日呼び出したのは他でもない、その交流戦についてだ。今回はシルビアン王国の勝利となったが内容がちと宜しくない」
「私たちの圧勝で何か問題でもあったのかな?」
「大ありだジーナ。お前たちは強すぎる。昨年まではシルビアン王国がしばらく敗退しておったが、それでもジーナは無敗。それなりにシルビアン王国とバーバリアン王国のバランスが取れておった。しかし今回はお前たちが圧勝していしまった。それによって、王族内でもバーバリアン王国を支配出来るのではといった声まで上がってきている」
「いくら私たちが圧勝したからって、さすがに国は取れないよ」
「わかっておる。しかし圧勝したのも事実。何かしらの対応も必要となるのだ。そこで儂からおぬしらに命令を出す」
「面倒な命令なら断っても良いよね?」
「良いわけがなかろう」
アレクは俺とクロエの方を向き
「クロエ・フォン・サーベント、おぬしにはバーバリアン王国へ出向き魔法指南をしてきてもらう。期間は一年間。その間の第十宮廷魔法師団はジーナ・エルメールが魔法師帝に兼任して団長を行ってもらう」
「マジっすか。私がバーバリアン王国で魔法指南っすか。まあ一年ぐらい…一年もたったら私もとうとう三十路……」
クロエはアレクの言葉以上に三十歳になる未来に落ち込んでいた。
「リンネ・アルフィード、おぬしにはある国の調査を依頼したい。今まではあまりにも危険で、誰も足を踏み入れる事が出来なかった国だ。名をノウヘルン魔人領と言う。二十年ほど前に領主、魔王が代替わりをしたのをきっかけに、他国への侵略が増えてきた。前魔王は歴代最強と言われながらも争いを好まなかった為、他国への侵略などなかったが、近年はその数の増加が著しい。故にジーナ以上の実力と言われているおぬしに依頼をしたいのだ」
「それは、俺一人で行った方が良いのか?」
「安全を考えれば、おぬし以外を連れて行くのは危険だが、誰か連れて行きたいのか?」
「連れて行きたいというか、たぶんついて来ると言うか」
「それは誰だ」
「一人は交流戦に中堅として参加していたエルシーだ。エルシーはまだまだ成長するし、足手まといにはならんだろうしな。それともう一人はリフレだ。俺と同じ第十宮廷魔法師団の団員でハイエルフだ。リフレは死者蘇生や身代人形と、規格外の魔法を使うし、回復魔法師は旅には必須だろ?」
「まあよい、その辺の人選はおぬしに任せる。ついていきたいものがいれば連れて行くがいい。それとなおぬしらに、最後に一言言わせてもらうぞ」
「なに、アレクさん?」
「どうしたっすかアレクさん?」
「なんだアレク?」
「もう少し口の利き方は覚えんか。他国の王族に同じように喋るでないぞ」
周りを見ると、護衛や家臣たちはひどく俺たちを睨んでいる。
そう言えば目の前にいるのは、このシルビアン王国の国王だ。
しかし、最初にフランクに話していたのはジーナだ。
よってジーナがすべて悪い。
そう結論付けると、リンネたちは深く頭を下げてその場を後にし、一同第十宮廷魔法師団へと向かったのだ。
「マルス君、私はしばらくバーバリアン王国に行く事が決まったっす。その間の団長代理はジーナさんになったっすよ」
「君がマルス君ね。だいたい一年間になるけど、宜しくね」
「お願いします魔法師帝」
「マルス君は固いね~。ジーナで良いよ」
「そうですか、それでは改めて宜しくお願いしますジーナさん」
「ジーナさんズルいっす。それなら私もみんなにクロエって呼ばれたいっすよ。ほらマルス君も今後はクロエで良いっすよ」
「わかりましたよクロエさん」
「リンネ君たちも、今後は名前で呼ぶっすよ」
「最初はそうだったし、じゃあ今後はクロエだな」
「(やっとリンネ君に名前で呼ばれたっす。はぅん。嬉しいっす)そうっすね、それでいいっすよ」
「それでクロエさん、今度についてもう少し詳しく教えていただけますか?」
クロエは国王からの依頼について詳しくマルスに説明していった。
最終的な結論としては第十宮廷魔法師団団長代理をジーナが行う。
クロエも一人で行くのはさみしいので、スーがクロエについていく事になった。
そして、これは予想通りだが、エルシーとリフレは俺について来る事になった。
「それではしばらくクロエさん、スーさん、リンネさん、リフレさん、エルシーさんがこの国を離れますので、本日は送別会でも行いましょうかね」
「いいっすねマルス君。今夜は私が驕るっすから、街に繰り出してどんちゃん騒ぎで楽しむっすよ!お金の心配はいらないっすので、好きなだけ食べて好きなだけ飲むっす」
その日は夜遅くまで、第十宮廷魔法師団のみんなと送別会を楽しんだのだ。
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