ペンギンさんのぬいぐるみ⑦
今日の給食は、きな粉揚げパンだった。
きな粉揚げパンには、かならずいりこアーモンドがセットで出る。
わたしはどっちも好き。でも手が汚れちゃう。
だからわたしとりすちゃんとやまねちゃんは、手をしっかり洗ってハンカチでちゃんとふいて、昼休み、渡り廊下へと向かった。
渡り廊下は、ちょうどすごい人だった。今日は、科学クラブの人たちが、スライムづくりをするみたいで、そのために集合しているみたい。
ペンギンさんのぬいぐるみは、まだ同じ位置にあった。
「まだあるね〜」
「うん。だから二年生の先生に渡してみよう」
わたしとりすちゃんとやまねちゃんは、ペンギンさんのぬいぐるみを持って、二年生の先生に渡すために、職員室に行った。
「どうしよう。職員室って、どうやって入ればいいの?」
「大丈夫ーわたし前出席簿係だったし、慣れてるよー!」
やまねちゃんは元気にドアを開けた。
「失礼しますー! 三年一組の根間やまねです。二年生の先生はいらっしゃいますか?」
すごいやまねちゃん。しっかりしてて、大人みたいな口調な気もする。
「二年生の先生……ちょっと待っててね」
職員室のドアに一番近い先生が立ち上がった。
少し離れたところにいた、女性の先生になにか話しかけ、その先生がこっちに来た。
「どうかしましたか?」
「あの……ぬいぐるみを拾ったんです。二年生の誰かのものかもしれなくて……今日の朝から渡り廊下に落ちてて……」
ぬいぐるみを持っていたのはわたしなので、わたしが頑張って答えた。
「ああ。昨日理科室に行く途中に誰かが落としたのかもしれませんね。二年生のみんなにきいてみるね。ありがとう」
先生は優しく笑ってわたしからぬいぐるみを受け取ってくれた。
二年生の誰かが持ち主で、その人の元に届けばいいんだけど。
わたしはそうなることを願って、りすちゃんとやまねちゃんと職員室から出た。
だけど。五時間めのあと。
ペンギンさんのぬいぐるみは、職員室の横の、ほとんど使われてない落し物コーナーに置かれていた。
たぶん二年生の誰も、自分のって言わなくて、先生がここに置いたんだろうと思う。
きっとこれが大人な対応で、わたしも結局、そうしようと思ってたから、これでいい。
いいはずなんだけど、ペンギンさんのぬいぐるみは、ボロい消しゴムに囲まれてて、寂しそうだった。
お読みいただきありがとうございます。
本作は論理的に持ち主が定まる話ではないですが、ここまで読むと持ち主があの人かなって思う方もいらっしゃるかもしれません。




