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99話
男が現れた。
広場の端。
男はボロボロだった。
鎧は砕け
剣は欠け
体は血で濡れていた。
男はよろめく。
一歩。
また一歩。
石畳の上。
血が落ちる。
ぽた。
中央の剣を見る。
何十本もの剣。
鎖でまとめられている。
男は笑った。
「……やっぱり」
男は歩く。
足取りは重い。
それでも止まらない。
中央の剣の前。
男は膝をつく。
呼吸が荒い。
男は空を見る。
雲が流れている。
男は小さく笑う。
「俺は……もう無理だ」
風が吹く。
鎖が揺れる。
カチャ……
男は自分の剣を見る。
欠けた剣。
それを地面に突き刺す。
ガンッ。
石畳に剣が刺さる。
男は剣に手を置く。
「だが!」
男は剣を見る。
「いつしか現れると信じてる」
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
男は目を閉じる。
「勝手で済まないが」
小さく笑う。
「頼んだ……!」
風が吹く。
その瞬間
男の姿が消えた。
広場には誰もいない。
中央の剣。
その中に
一本
新しい剣が増えていた。




