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臨界(仮)  作者: vastum


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98/100

98話

広場には誰もいなかった。


風が吹く。


中央の剣。


何十本もの剣。


鎖でまとめられている。


カチャ……


鎖が鳴る。


石畳の上。


小さな羽が落ちていた。


風に押される。


カサ……


少し転がる。


空は薄く赤い。


夕方。


鳥の声が遠くで聞こえる。


広場は静かだった。


風が吹く。


鎖が揺れる。


カチャ……


羽がまた少し動く。


その時。


広場の端。


石畳の上に


赤い跡がひとつ落ちた。


ぽた。


少し遅れて


もう一滴。


ぽた。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


広場には


まだ


誰もいない。


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