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臨界(仮)  作者: vastum


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96/100

96話

男は広場に現れた。


風が吹く。


中央の剣。


何十本もの剣。


鎖でまとめられている。


カチャ……


鎖が鳴る。


男は少し歩く。


コツ……コツ……


その時。


石畳の上で何かが光った。


男は止まる。


しゃがむ。


小さな円い金属。


男はそれを拾う。


コインだった。


男は少し首をかしげる。


片面には知らない紋章。


もう片面には


見たことのない文字。


男はコインを指で回す。


カラン。


小さな音。


男は少し笑う。


「どこのだ」


風が吹く。


鎖が揺れる。


カチャ……


男は中央の剣を見る。


それからもう一度コインを見る。


ポケットに入れる。


空を見る。


雲がゆっくり流れている。


その瞬間。


男の姿が消えた。


広場には誰もいない。


石畳の上。


さっきまでコインがあった場所だけが


少し光っていた。

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