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95話
男は広場の端に立っていた。
石畳の終わり。
その先は草。
風が吹く。
草が揺れる。
中央の剣が見える。
何十本もの剣。
鎖でまとめられていた。
カチャ……
鎖が鳴る。
男はゆっくり歩く。
コツ……コツ……
中央の剣の前で止まる。
刃を見上げる。
一本一本。
形が違う。
男はしばらく見ている。
風が吹く。
鎖が揺れる。
カチャ……
男は小さく息を吐く。
「……ここか」
男は剣を一本見る。
柄が擦り減った剣。
男は少し笑う。
「父さん」
風が吹く。
草が揺れる。
男は空を見る。
雲がゆっくり流れている。
男はもう一度剣を見る。
少し頷く。
その瞬間。
男の姿が消えた。
広場には誰もいない。
風だけが吹いていた。




