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94話
広場には誰もいなかった。
風が吹く。
中央の剣。
何十本もの剣。
鎖でまとめられている。
カチャ……
鎖が鳴る。
その時。
男が現れた。
男は少し周りを見る。
「……」
中央の剣を見る。
ゆっくり歩く。
コツ……コツ……
剣の前で止まる。
一本の刃を見る。
「多いな」
風が吹く。
カチャ……
男は少し考える。
それからポケットから小さな石を取り出す。
軽く投げる。
カツン。
石畳に当たる。
音が広場に響く。
男は空を見る。
雲が流れている。
男は小さく笑う。
「いい音だ」
風が吹く。
鎖が揺れる。
カチャ……
その瞬間。
男の姿が消えた。
広場には誰もいない。
石だけが石畳の上に残っていた。




