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臨界(仮)  作者: vastum


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93/100

93話

男は広場の中央に立っていた。


何十本もの剣。


石畳に突き刺さっている。


鎖でまとめられていた。


風が吹く。


カチャ……


鎖が鳴る。


男はゆっくり歩く。


コツ……コツ……


剣の周りを見て回る。


一本一本、形が違う。


長い剣。


細い剣。


欠けた刃。


男は立ち止まる。


しばらく見ている。


それから小さく息を吐く。


「……あった」


風が吹く。


鎖が揺れる。


カチャ……


男は剣の一本を見る。


古い剣。


柄が擦り減っている。


男は少し笑う。


「師匠」


男は空を見る。


雲が流れている。


「やっぱり」


「嘘じゃなかったんだな」


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


男はもう一度剣を見る。


それからゆっくり目を閉じる。


その瞬間。


男の姿が消えた。


広場には誰もいない。


風だけが吹いていた。

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