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臨界(仮)  作者: vastum


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91/100

91話

男は広場の中央に立っていた。


何十本もの剣。


石畳に突き刺さっている。


鎖でまとめられていた。


風が吹く。


カチャ……


鎖が鳴る。


男は剣を見上げている。


その時。


「……」


男はゆっくり歩き出す。


コツ……コツ……


剣の周りを一周する。


刃を一本ずつ見ていく。


形が少しずつ違う。


長い剣。


短い剣。


刃の幅も違う。


男は立ち止まる。


「……」


男は腰の剣を少し抜く。


金属の音。


シャッ。


自分の剣を見る。


それから中央の剣を見る。


少し似ている。


男は小さく笑う。


「やっぱり」


風が吹く。


鎖が揺れる。


カチャ……


男は剣を鞘に戻す。


それから空を見る。


雲がゆっくり流れている。


男はもう一度中央の剣を見る。


「爺さん」


小さく呟く。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


その瞬間。


男の姿が消えた。


広場には誰もいない。


風だけが吹いていた。

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