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臨界(仮)  作者: vastum


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90/100

90話

女は広場の中央に立っていた。


何十本もの剣。


石畳に突き刺さっている。


鎖でまとめられていた。


風が吹く。


カチャ……


鎖が鳴る。


女は剣を見上げている。


その時。


「多いな」


声がした。


女は振り向く。


男が立っていた。


「多い」


男は剣を見る。


少し近づく。


刃を見上げる。


「一本くらい」


「抜けそうだけどな」


女は少し笑う。


「みんなそう思う」


「抜いた?」


「試してない」


「俺も」


風が吹く。


鎖が揺れる。


カチャ……


男は広場を見回す。


「広いな」


「広い」


「走れる」


「走る?」


男は少し笑う。


「やめとく」


「私も」


少し沈黙。


風が吹く。


女は空を見る。


雲が流れている。


「静か」


「静かだな」


その瞬間。


男が消えた。


女は中央の剣を見る。


夕日が刃に反射する。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


次の瞬間。


女の姿も消えた。


広場には誰もいない。


夕焼けと風だけが残っていた。

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