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90話
女は広場の中央に立っていた。
何十本もの剣。
石畳に突き刺さっている。
鎖でまとめられていた。
風が吹く。
カチャ……
鎖が鳴る。
女は剣を見上げている。
その時。
「多いな」
声がした。
女は振り向く。
男が立っていた。
女
「多い」
男は剣を見る。
少し近づく。
刃を見上げる。
男
「一本くらい」
男
「抜けそうだけどな」
女は少し笑う。
「みんなそう思う」
男
「抜いた?」
女
「試してない」
男
「俺も」
風が吹く。
鎖が揺れる。
カチャ……
男は広場を見回す。
「広いな」
女
「広い」
男
「走れる」
女
「走る?」
男は少し笑う。
「やめとく」
女
「私も」
少し沈黙。
風が吹く。
女は空を見る。
雲が流れている。
女
「静か」
男
「静かだな」
その瞬間。
男が消えた。
女は中央の剣を見る。
夕日が刃に反射する。
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
次の瞬間。
女の姿も消えた。
広場には誰もいない。
夕焼けと風だけが残っていた。




