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臨界(仮)  作者: vastum


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87/100

87話

男は広場の端に立っていた。


石畳の終わり。


その先は草が広がっている。


風が吹く。


草が揺れる。


中央の剣は遠くに見える。


鎖の音が小さく届く。


カチャ……


男は手に何か持っていた。


小さな紙。


少し古い。


男はそれを見る。


折り目がついている。


その時。


「地図?」


声がした。


男は振り向く。


男が立っていた。


「違う」


2人目の男は近づく。


紙を見る。


線が描かれている。


丸。


その隣に小さな剣の絵。


2人目の男

「これ」


「祖母の」


風が吹く。


紙が少し揺れる。


2人目の男

「場所の絵?」


「多分」


2人目の男は中央の剣を見る。


遠くに見える。


2人目の男

「似てる」


「そうだな」


少し沈黙。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


2人目の男

「祖母」


「うん」


2人目の男

「来たのか」


男は紙を見る。


「来たのかもな」


風が吹く。


紙が揺れる。


その瞬間。


2人目の男が消えた。


男は中央の剣を見る。


それから紙を見る。


紙の剣の絵。


広場の剣。


よく似ている。


次の瞬間。


男の姿も消えた。


広場には誰もいない。


風だけが吹いていた。

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