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82話
男は広場をゆっくり歩いていた。
石畳の上。
コツ……コツ……
中央の剣の束が見える。
何十本もの剣。
鎖でまとめられていた。
風が吹く。
カチャ……
鎖が鳴る。
男は少し立ち止まる。
その時。
「歩くの好き?」
声がした。
男は振り向く。
女が立っていた。
男
「好きでも嫌いでもない」
女は石畳を踏む。
コツ。
音が広がる。
女
「音がいい」
男
「広いからな」
女は少し歩く。
コツ……コツ……
女
「確かに」
風が吹く。
中央の鎖が揺れる。
カチャ……
女は剣を見る。
「近くで見ると怖い」
男
「なんで」
女
「多すぎる」
男は少し笑う。
「それはある」
少し沈黙。
女が言う。
「ここ」
男
「うん」
女
「静かすぎる」
男
「確かに」
風が吹く。
草が揺れる。
女は空を見る。
「いい天気」
男
「そうだな」
その瞬間。
女が消えた。
男は中央の剣を見る。
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
次の瞬間。
男の姿も消えた。
広場には誰もいない。
風だけが吹いていた。




