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臨界(仮)  作者: vastum


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81/100

81話

男は広場の中央に立っていた。


剣の束の前。


何十本もの剣が石畳に突き刺さっている。


鎖でまとめられていた。


風が吹く。


カチャ……


鎖が鳴る。


男は剣を見ている。


少し目を細める。


その時。


「やっぱりここだ」


声がした。


男は振り向く。


女が立っていた。


「知ってるのか」


女は中央の剣を見る。


「見たことはない」


「じゃあ」


女は少し考える。


「聞いた」


風が吹く。


鎖が揺れる。


カチャ……


「誰から」


女は剣を見る。


「兄」


「来たことあるのか」


女は少し笑う。


「変な場所だったって」


「変な場所だ」


「剣がいっぱいあったって」


男は中央の剣を見る。


「合ってる」


「風が静かだったって」


「それも合ってる」


少し沈黙。


風が吹く。


女は空を見る。


雲が流れている。


「ここに来ると」


「うん」


「すぐ消えるって言ってた」


男は少し笑う。


「それも合ってる」


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


既に女は居なくなっていた。


男は剣を見る。


少し空を見る。


そして


次の瞬間。


男の姿も消えた。


広場には誰もいない。


風だけが吹いていた。

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