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81話
男は広場の中央に立っていた。
剣の束の前。
何十本もの剣が石畳に突き刺さっている。
鎖でまとめられていた。
風が吹く。
カチャ……
鎖が鳴る。
男は剣を見ている。
少し目を細める。
その時。
「やっぱりここだ」
声がした。
男は振り向く。
女が立っていた。
男
「知ってるのか」
女は中央の剣を見る。
「見たことはない」
男
「じゃあ」
女は少し考える。
「聞いた」
風が吹く。
鎖が揺れる。
カチャ……
男
「誰から」
女は剣を見る。
「兄」
男
「来たことあるのか」
女は少し笑う。
「変な場所だったって」
男
「変な場所だ」
女
「剣がいっぱいあったって」
男は中央の剣を見る。
「合ってる」
女
「風が静かだったって」
男
「それも合ってる」
少し沈黙。
風が吹く。
女は空を見る。
雲が流れている。
女
「ここに来ると」
男
「うん」
女
「すぐ消えるって言ってた」
男は少し笑う。
「それも合ってる」
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
既に女は居なくなっていた。
男は剣を見る。
少し空を見る。
そして
次の瞬間。
男の姿も消えた。
広場には誰もいない。
風だけが吹いていた。




