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80話
男は石畳の上に立っていた。
中央の剣から少し離れた場所。
広場を見渡している。
風が吹く。
中央の鎖が揺れる。
カチャ……
男は歩き出す。
コツ……コツ……
その時。
「歩く音、響くね」
声がした。
男は振り向く。
女が立っていた。
男
「広いからな」
女は石畳を軽く踏む。
コツ。
音が広がる。
女
「本当だ」
男
「走るともっと響く」
女
「試す?」
男は少し笑う。
「やめとく」
女
「同じ」
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
女は中央の剣を見る。
「多い」
男
「多いな」
女
「全部刺さってる」
男
「全部」
女は少し考える。
「誰か」
「頑張ったんだね」
男は少し笑う。
「かなり」
風が吹く。
雲が流れる。
少し沈黙。
女が言う。
「ユウト」
男
「ん?」
女
「静かだね」
男は少し固まる。
「……誰だ」
女は少し笑う。
「さあ」
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
その瞬間。
女が消えた。
男は空を見る。
雲が流れている。
そして
次の瞬間。
男の姿も消えた。
広場には誰もいない。
風だけが吹いていた。




