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臨界(仮)  作者: vastum


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76/100

76話

男は中央の剣の前に立っていた。


何十本もの剣。


石畳に突き刺さっている。


鎖でまとめられていた。


風が吹く。


カチャ……


鎖が鳴る。


男は剣を見上げている。


その時。


足音がした。


コツ……コツ……


男は振り向く。


2人目の男が歩いてくる。


二人は止まる。


少し見つめ合う。


2人目の男

「……」


「……」


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


2人目の男が言う。


「似てるな」


「そうだな」


2人目の男

「かなり」


「かなり」


少し沈黙。


2人目の男は剣を見る。


「ここ」


「うん」


2人目の男

「来たことある気がする」


「俺も」


風が吹く。


鎖が揺れる。


カチャ……


2人目の男が言う。


「一つ違う」


「何が」


2人目の男は少し笑う。


「俺」


「コーヒー飲めない」


男は少し驚く。


「……嘘だろ」


2人目の男

「苦い」


男は少し笑う。


「俺は好きだ」


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


2人目の男が空を見る。


雲が流れている。


その瞬間。


2人目の男が消えた。


男は剣を見る。


少し考える。


小さく呟く。


「……確かに苦いな」


次の瞬間。


男の姿も消えた。


広場には誰もいない。


風だけが吹いていた。

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