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臨界(仮)  作者: vastum


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75/100

75話

1人目の女は石畳にしゃがんでいた。


中央の剣から少し離れた場所。


地面を見ている。


風が吹く。


鎖の音が遠くから届く。


カチャ……


その時。


「何見てるの?」


声がした。


1人目の女は振り向く。


2人目の女が立っていた。


1人目の女

「この石」


2人目の女もしゃがむ。


石畳の割れ目。


小さな砂が溜まっている。


2人目の女

「普通の石だね」


1人目の女

「うん」


2人目の女

「でも見てた」


1人目の女は少し笑う。


「なんとなく」


風が吹く。


中央の鎖が揺れる。


カチャ……


2人目の女は剣を見る。


「大きいね」


1人目の女

「遠くからでも見える」


2人目の女

「リナ」


1人目の女

「ん?」


2人目の女

「石好きだったっけ」


1人目の女は少し驚く。


「……誰?」


2人目の女は少し考える。


それから肩をすくめる。


「忘れた」


リナは少し首をかしげる。


風が吹く。


草が揺れる。


2人目の女は空を見る。


「いい天気」


リナも空を見る。


雲が流れている。


その瞬間。


2人目の女が消えた。


リナは少し地面を見る。


さっきの石。


また触る。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


次の瞬間。


リナの姿も消えた。


広場には誰もいない。


風だけが吹いていた。

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