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臨界(仮)  作者: vastum


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69/100

69話

男は石畳の上に座っていた。


中央の剣から少し離れた場所。


足を伸ばしている。


風が吹く。


遠くで鎖が鳴る。


カチャ……


男は空を見ていた。


雲がゆっくり流れている。


その時、声がした。


「休憩?」


男は顔を向ける。


男がもう一人立っていた。


座っている男

「そんな感じ」


立っている男

「ここ、椅子ないね」


座っている男

「石はある」


立っている男は少し笑う。


「確かに」


立っている男も座る。


石畳の上。


二人で空を見る。


風が吹く。


中央の鎖が揺れる。


カチャ……


立っていた男が言う。


「静かだな」


座っていた男

「うん」


立っていた男

「こういう場所」


立っていた男

「嫌いじゃない」


座っていた男

「同じ」


少し沈黙。


雲が流れる。


立っていた男が聞く。


「ここ」


「初めて?」


座っていた男

「多分」


立っていた男

「俺も」


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


二人は少し笑う。


その瞬間。


立っていた男が消えた。


座っていた男は少し空を見る。


「……早いな」


男は立ち上がる。


中央の剣を見る。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


次の瞬間。


男の姿も消えた。


広場には誰もいない。


風だけが吹いていた。

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