表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
臨界(仮)  作者: vastum


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/68

53話

石畳に、水が落ちた。


ぽつ。


もう一滴。


ぽつ。


広場には雲がかかっていた。


さっきまで青かった空が、少し暗い。


男は空を見上げていた。


「……雨か」


中央には剣が刺さっている。


何十本も。


鎖でまとめられている。


風が吹く。


カチャ……


鎖が鳴る。


ぽつ。


雨がまた落ちた。


男は手を出す。


掌に小さな水滴。


その時、声がした。


「降ってきたね」


男は振り向く。


女が立っていた。


女は空を見ている。


「傘ない」


「俺も」


ぽつ。


ぽつ。


雨はまだ弱い。


女は剣を見る。


「濡れてる」


刃に水滴がついている。


「錆びるかな」


「もう錆びてる」


男は少し笑う。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


女は石畳を見る。


雨粒が丸い跡を作る。


「音いいね」


ぽつ。


ぽつ。


「静かだな」


「うん」


少し沈黙。


女が聞く。


「名前は?」


「シン」


「私は——」


その瞬間。


女が消えた。


雨はまだ降っている。


男は空を見る。


ぽつ。


ぽつ。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


次の瞬間。


男の姿も消えた。


広場には誰もいない。


雨だけが落ちていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ