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51話
靴音が響いていた。
コツ……コツ……
広場は静かだった。
石畳の上を、男がゆっくり歩いている。
中央には剣が刺さっていた。
何十本も。
鎖でまとめられている。
風が吹く。
カチャ……
鎖が鳴る。
男は剣の前で止まる。
少し首をかしげる。
「……」
その時。
「おー」
声がした。
男は振り向く。
別の男が立っていた。
旅人の格好。
男は剣を見て笑う。
「すごいなこれ」
最初の男
「そうだな」
旅人
「戦場かな」
男
「かもしれない」
旅人は近づく。
一本の柄を触る。
「重い」
男
「抜けない」
旅人
「試した?」
男
「試した」
旅人は少し笑う。
「やっぱりか」
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
旅人は広場を見回す。
「変な場所だ」
男
「そうだな」
旅人
「でも嫌いじゃない」
男
「静かだからな」
少し沈黙。
旅人が聞く。
「ここ、来たことある?」
男
「ない」
旅人
「俺も」
風が吹く。
草が揺れる。
旅人が空を見る。
「いい空」
男も見る。
雲が流れている。
男
「旅日和だ」
旅人
「ここから出られるならな」
男は少し笑う。
その時。
旅人が消えた。
男は少しだけ驚く。
中央の剣を見る。
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
男は小さく息を吐く。
次の瞬間。
男の姿も消えた。
広場には誰もいない。
風だけが吹いていた。




