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臨界(仮)  作者: vastum


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47話

石畳の端に、小さな花が咲いていた。


白い花だった。


割れた石の隙間から伸びている。


風が吹く。


花が揺れた。


広場は静かだった。


中央には剣が刺さっている。


何十本も。


鎖でまとめられていた。


カチャ……


鎖が鳴る。


少女はしゃがみこんでいた。


花を見ている。


指でそっと触れる。


花びらが揺れる。


少女は少し笑った。


広場を見回す。


石の地面。


崩れた柱。


遠くの壁。


何もない場所。


少女はまた花を見る。


石の中で咲いている。


小さな花。


少女は少し考える。


それから


石畳の隙間を指で掘った。


少しだけ土を寄せる。


花の根元。


「……」


何も言わない。


ただ、土を整える。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


少女は立ち上がる。


中央の剣を見る。


しばらく見ている。


それから空を見る。


雲が流れていた。


少女はまた花を見る。


小さく頷く。


その瞬間。


少女の姿は消えた。


広場には誰もいない。


花だけが揺れていた。


風が吹く。

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