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臨界(仮)  作者: vastum


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45/67

45話

風が吹いていた。


広場の石畳の上を。


草が揺れる。


中央には剣が刺さっている。


何十本も。


鎖でまとめられていた。


カチャ……


鎖が鳴る。


男は歩いていた。


ゆっくり。


石の上を。


コツ……コツ……


男は中央の剣の前で止まる。


しばらく見ている。


一本の柄に触れる。


手を離す。


男は空を見る。


雲が流れていた。


しばらくそのまま立っている。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


男は石畳に座る。


靴の砂を払う。


また立ち上がる。


剣を見る。


何も言わない。


ただ見ている。


風が吹く。


草が揺れる。


遠くで鳥が鳴いた。


男は少し笑った。


その瞬間。


男の姿は消えた。


広場には誰もいない。


風だけが残っていた。


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