表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
臨界(仮)  作者: vastum


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/67

44話

影が落ちていた。


広場の中央。


剣の束の前に。


小さな影だった。


それは動いた。


石畳の上を、ゆっくりと。


カリ……カリ……


小さな爪の音。


それは狼だった。


灰色の毛並み。


痩せた体。


狼は広場を歩く。


鼻を動かす。


匂いを探す。


しかし


何もない。


肉の匂いも。


血の匂いも。


土の匂いも。


ただ風だけがある。


狼は止まる。


中央を見る。


剣。


何十本も地面に刺さっている。


鎖でまとめられている。


風が吹く。


カチャ……


鎖が鳴る。


狼は耳を動かす。


音を聞く。


しばらく見ている。


狼はゆっくり近づく。


剣の束の前で止まる。


一本の柄を嗅ぐ。


金属の匂い。


それだけ。


狼は座る。


空を見る。


青かった。


雲が流れている。


狼はあくびをした。


そして


その場に伏せる。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


広場は静かだった。


狼は目を閉じる。


しばらく動かない。


やがて


狼は目を開ける。


立ち上がる。


剣を見る。


そして


広場の端へ歩く。


カリ……カリ……


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


次の瞬間。


狼の姿は消えた。


広場には誰もいない。


風だけが吹いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ