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臨界(仮)  作者: vastum


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43話

男は走っていた。


石畳の上を。


ドン、ドン、ドン……


「最高だ!」


広場に声が響く。


男は笑っていた。


両手を広げて走る。


広い石の地面。


遠くまで何もない。


「どこだここ!」


男は大声で笑う。


崩れた柱を見つける。


そこに登る。


上から広場を見る。


中央に剣が刺さっていた。


何十本も。


鎖でまとめられている。


風が吹く。


カチャ……


鎖が鳴る。


男は飛び降りる。


「すげぇ!」


剣の束の前に立つ。


一本の柄を掴む。


引く。


動かない。


男は笑う。


「抜けない!」


もう一度引く。


動かない。


「いいなこれ!」


その時。


足音がした。


振り向く。


女が立っていた。


女は男を見て少し驚く。


「……元気だね」


男は笑う。


「最高だ!」


「何が」


「全部!」


女は広場を見回す。


「ここ知らない」


「俺も!」


「怖くないの?」


男は空を見る。


青空だった。


「楽しい!」


女は少し呆れる。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


女が聞く。


「名前は?」


「カイン!」


「私は——」


その瞬間。


女が消えた。


男は一瞬驚く。


そして笑った。


「消えた!」


中央の剣を見る。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


男は大きく伸びをする。


「面白い場所だ!」


次の瞬間。


男の姿も消えた。


広場には誰もいない。


風だけが吹いていた。


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