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臨界(仮)  作者: vastum


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42/67

42話

男は立っていた。


広場の端。


石畳を見ている。


割れ方を観察していた。


「……古い」


風が吹く。


中央を見る。


剣。


何十本も地面に刺さっている。


鎖でまとめられている。


カチャ……


鎖が鳴る。


男はゆっくり近づく。


一本の柄に触れる。


冷たい。


その時。


足音がした。


コツ……コツ……


男は振り向く。


もう一人の男が立っていた。


同じくらいの年。


同じくらいの背丈。


だが服装は違う。


剣士だった。


剣を腰に差している。


二人は少し見つめ合う。


剣士が言う。


「ここどこだ」


「知らない」


剣士は中央の剣を見る。


「戦場?」


「違うと思う」


剣士

「なんで」


男は石畳を見る。


「壊れ方」


剣士は笑う。


「変な見方だな」


男も少し笑う。


「よく言われる」


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


剣士は空を見る。


「いい空だ」


男も見る。


青空だった。


「そうだな」


少し沈黙。


剣士が聞く。


「名前は?」


「セリウス」


剣士は少し驚く。


「……へぇ」


「どうした」


剣士は笑う。


「偶然だな」


「何が」


剣士は言う。


「俺もセリウスだ」


沈黙。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


男は少し考える。


剣士は笑う。


「世界は広いな」


男も笑った。


「そうだな」


少し沈黙。


剣士

「変な場所だ」


「面白い場所だ」


その瞬間。


剣士が消えた。


男は周囲を見る。


中央の剣を見る。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


男は小さく呟く。


「……確かにな」


次の瞬間。


男も消えた。


広場には誰もいない。


風だけが吹いていた。


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