41話
靴の裏で砂が鳴った。
ザッ。
男は足を止める。
足元を見る。
砂ではない。
石畳だった。
広い広場。
遠くまで石の地面が続いている。
男は眉をひそめた。
「……転移事故か」
男は周囲を見回す。
崩れた柱。
割れた石。
風が吹く。
中央に何か見えた。
剣だった。
大量に。
地面に突き刺さっている。
鎖でまとめられている。
風が吹く。
カチャ……
鎖が鳴る。
男はゆっくり近づく。
一本の柄に触れる。
冷たい。
「金属武器か」
男は空を見る。
青空だった。
「……惑星でもない」
その時。
足音がした。
振り向く。
女が立っていた。
剣を腰に差している。
女は広場を見回す。
「……ここは」
男が言う。
「知らない」
女は中央の剣を見る。
「戦場?」
男
「違う」
女
「どうして」
男は鎖を指さす。
「固定されている」
女
「固定?」
男
「配置が人工的だ」
女は少し驚く。
「学者?」
男は笑う。
「軍人だ」
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
女が空を見る。
「静か」
男
「そうだな」
少し沈黙。
女が聞く。
「名前は?」
男
「ロイド」
女は少し考える。
「変な名前」
男は笑った。
「そうかもな」
風が吹く。
草が揺れる。
女
「私は——」
その瞬間。
女が消えた。
ロイドは少しだけ周囲を見る。
中央の剣を見る。
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
男は小さく呟く。
「……面白い場所だ」
次の瞬間。
男の姿も消えた。
広場には誰もいない。
風だけが吹いていた。




