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33話
石が蹴られた。
ガン、と音が響く。
男は荒い息を吐いていた。
「……くそ」
広場だった。
広い石の地面。
遠くまで何もない。
男は周囲を睨む。
「どこだここ!」
声が響く。
返事はない。
風が吹く。
男は舌打ちした。
「ふざけんな」
さっきまで城だった。
玉座の間。
王がいた。
家臣がいた。
そして——
男は拳を握る。
「……あいつ」
怒りが収まらない。
男は歩く。
荒い足音。
ドン……ドン……
その時。
中央に何か見えた。
剣だった。
地面に刺さっている。
大量に。
何十本も。
鎖で束ねられている。
風が吹く。
カチャ……
鎖が鳴る。
男は近づく。
一本掴む。
引く。
動かない。
「……っ」
もう一度引く。
動かない。
男は剣を蹴る。
ガン。
「なんなんだよ!」
広場は静かだった。
風が吹く。
草が揺れる。
男は息を整える。
空を見る。
青空だった。
「……」
少し沈黙。
怒りが少し落ちる。
男は剣の束を見る。
「……墓か」
誰かの。
何かの。
男は石畳に座る。
頭を抱える。
「……くそ」
しばらく動かない。
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
男は小さく呟く。
「やり直せたらな」
次の瞬間。
男の姿は消えた。
広場には誰もいない。
風だけが吹いていた。




