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臨界(仮)  作者: vastum


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31/67

31話

男は立っていた。


しばらく動かない。


石畳。


広い広場。


遠くまで何もない。


「……」


男は周囲を見回す。


崩れた柱。


割れた石。


中央には剣が刺さっていた。


何十本も。


鎖でまとめられている。


風が吹く。


カチャ……


鎖が鳴る。


男はその音を聞いた。


「……静かだな」


少し歩く。


コツ……コツ……


中央の剣を眺める。


「すごい量だ」


一本触る。


冷たい。


引く。


動かない。


「まあ、だろうな」


男は空を見る。


青空だった。


雲がゆっくり流れている。


風が気持ちいい。


「……」


男はその場に座る。


少し考える。


そして


そのまま石畳に寝転がった。


「いい昼寝場所だ」


腕を枕にする。


空を見る。


雲が流れる。


風が吹く。


草が揺れる。


カチャ……


鎖が鳴る。


男は小さく笑った。


「悪くない」


目を閉じる。


しばらく静かだった。


虫の声。


風。


鎖の音。


カチャ……


男の呼吸がゆっくりになる。


完全に寝ていた。


どれくらい時間が経ったのか。


風が少し強く吹いた。


鎖が揺れる。


カチャ……


男は起きない。


次の瞬間。


男の姿は消えた。


広場には誰もいない。


空だけが広がっていた。


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