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臨界(仮)  作者: vastum


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23/67

23話

夜だった。


雲のない空。


星が広場いっぱいに広がっていた。


石畳の上を風が静かに流れている。


男はゆっくり歩いていた。


靴音が響く。


コツ……コツ……


広場は広かった。


遠くまで石が続いている。


壊れた柱。

崩れた壁。


男は足を止めた。


「……」


見覚えがない。


さっきまで街だった。


酒場の外に出て、

空を見上げたところだった。


なのに今は


知らない場所にいる。


男はため息をついた。


「酔ってるな」


歩く。


コツ……コツ……


その時、視界に入った。


中央の剣。


男は立ち止まる。


「……なんだありゃ」


ゆっくり近づく。


何十本もの剣が地面に刺さっている。


鎖でまとめられていた。


風が吹く。


カチャ……


鎖が鳴る。


男は一本の柄に触れる。


冷たい。


「本物か」


引く。


動かない。


「そりゃそうか」


男は空を見上げた。


星が多かった。


街では見えない数だった。


「いい空だ」


少し沈黙。


虫の声が聞こえる。


風が吹く。


草が揺れる。


男は剣を見た。


「戦場……でもないか」


血の匂いはない。


腐った匂いもない。


ただ静かだった。


男は石畳に座った。


空を見る。


星が流れる。


「……」


しばらく座っていた。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


男は立ち上がる。


「帰るか」


その瞬間。


男の姿は消えた。


広場には誰もいない。


星と風だけが残っていた。


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