悪巧み
「バゴラ、下品に嫌な奴で頼むな」
「お任せ下さい。そう言う事は得意で御座います」
そりゃ本人だものね、フェイクライフだけど。
「これはこれはバゴラ様、直々にいらっしゃって下さるとは真にありがとう御座います。今日は何がご入り用でしょう?」
「買い付けに来たのでは無い。文句を言いに来たのだ。この間、貴様の店で買ったバッカクに大量に砂が混じっておった」
「そ、そんな筈は」
「黙れ、貴様のせいで私が皆の前で公爵様から叱責を受けたのだ」
「バカな」
「こんな物こうしてくれる」
「ああ、私達が大切に育ててきたバッカクの実を足で踏みつけるなんて」
「何が大切に育ててきただ。ペッ!」
「なんて事を!許しませんよ」
「ああ結構だ。お前の所となど取引は金輪際しない!」
ホビット達には関係ないので、心が痛い。俺が取引する時は相場の値段より高く買い取りするので勘弁して下さい。
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「ウィルが大悪党に見えて来たわ」
「嫌な事を言うなよ」
「ウィル様は優しい方ですよ」
「判っていますよサユリカ」
「それで、これからどうするの?」
「全ての商会で同じことをする」
「そう言う事か」
「タクト、これから商会との折衝は任せたい」
「分かった」
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一芝居を打った後、王都に店を出す為に商業ギルドに紹介してもらった場所に来ている。
「良いじゃない」
「そうだね、メインの通りからは離れてはいるが、かえって良いかも」
「じゃあ、決めますね」
「うん」
☆☆☆☆☆
「香辛料の買い付けに来た」
「いらっしゃいませ」
「お客様か?」
「はい、バゴラ商会の方です」
「なに!バゴラ商会だと。……私が相手をしよう」
「いらっしゃいませ、何をお探しですか?」
「バゴラ商会だ。何時もの通り頼む」
「残念ですがバコラ商会に売るものは1つも有りません。お帰りを」
「何だと!貴様……後悔するぞ」
「どうぞお好きなように」
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「旦那様、香辛料の買い付けが出ませんでした。それどころか、海鮮も果物も全て出来なかったそうです」
「何だと!それで黙って帰って来たのか?」
「いいえ、商業ギルドに文句を言いに行ったそうですが、相手にされなかったそうです」
「くっ、一体どうなっている?」
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「見てきましたよ」
「どうでした?」
「効果が出てきたみたい、品数や並ぶ量が減って来たわ」
「よし、頃合いだな」
「いよいよ開店ですね」
「やってやります。父上の仇を討つ為の第1歩だ」
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利益はそこそこ出ればいい。金ならダンジョンで得たお宝が腐るほど有るので潰れる事はない。
「大盛況だ」
「当然よ」
「バゴラの奴の顔が目にうかぶ」
「これからが要注意だ」
「そうですね」
「全て返り討ちにしてくれる」
奴らが店を襲って来たのは2週間後だった。
師匠直伝で作った魔道具を店の至る所に置いて有る。逃れぬ術は無いので待っていれば良いだけだ。
「掛かったようですね」
「回収しに行きますか」
魔道具によって拘束されていたのは5人の男達だった。
「くそっ、何をしやがった?」
もがきながら俺が若僧だと知って悪態を言う男達を睨み付ける。
「でかい口をきかないで欲しいな。あんたらを生かすも殺すも俺達次第なのだから」
「うっ……」
「目的と黒幕を言ってもらおうか?」
「い、言うわけないだろう」
「仕方ない、サユリア」
「はい」
サユリアは師匠に貰った"女王様の鞭"で男を鞭うつ。
「ぎゃっ!おおぉぉ~ん」
男の衣服が破れ背中が腫れ上がる。だけど男の表情は恍惚としている。
「さあ、白状しなさい」
「も、もっと……」
「鞭が欲しいなら言いなさい」
「バゴラ様から店を壊すように言われたのです」
「良いでしょう。ご褒美です」
[ピシッ!]
「ぐわっ、ああぁ……」
サユリアは女王様の鞭を完全に使いこなしている。
「良いわねそれ、今度私にもやらせて?」
「もちろんです」
困惑したタクトと目が合った。女子達に変な趣味が出来ないように2人で祈ろう。
「解ってはいたけど、やっぱりバゴラね」
「こいつらは?」
「ギルドに引き渡すよ」
その後5回に渡って店にちょっかいを出して来た。懲りない奴だ。
「また来たようだ」
「めんどくさいわね」
何時ものように見に行くと男達が倒れていたが、1人だけ立っている奴がいた。足下に魔道具が破壊され落ちている。
「ヘぇ、腕が立ちますね」
「君達は、怒らせてはいけない方を怒らせてしまいました」
「本当の黒幕、ガレキーニか公爵の事かな?」
「そこまで知っているのですね?」
「ウィル、そいつただ者じゃない」
「そうだね、謝ったら許してくれる?」
「もう遅いのはご存知でしょう?」
「ですよね」
かなりの手練れだ。プロの暗殺者のようだ、どうする?ガレキーニを知っているのを知られたし……体術や剣術では俺が分が悪そうだ。
「フェイクライフ!勇者アーサーお願いします」
「主の命とあらば、いざ勝負!」
「何だと?」
「俺の代わりに勇者が相手してくれるよ。光栄に思ってね」
「バ、バカな」
勇者が軽やかなステップで進み、聖剣が男を襲う。
「くぅ」
男は辛うじて躱したみたいだが、胸から血飛沫が上がった。
「腕には自信はあるが、勇者に勝てるなどと自惚れてはいない」
逃げる気か?無理だと思うけど。
「げはっ」
案の定、勇者に回りこまれて正面から真っ二つにされた。
「ありがとうアーサー」
「畏れ入ります」
暗殺者を倒してから店が襲われる事は無くなった。
「諦めたのかしら?」
「どうだかね」
「ウィル、バゴラ商会の使いの者がみえてますよ」
「使いの者?」
「旦那様がこちらの主人とお話がしたいと申しております」
「解りました。お伺い致します」
「罠ね」
「違いない」
「まあ、行って来るよ」
「始めからアーサーをお伴に付けて下さい」
「分かった」
俺を懐柔するきか、どう出てくる?
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