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アイアンハート  作者: 安心
必然たる偶発
48/49

タールの戦い5

PC壊れてるのでちょっとずつ再開します(不定期

裕福な物が全てではない。だが裕福であるということは選択肢を与えてくれる。例え選択権を持った者が愚かであったとしても…

そしてその愚かな裕福に賢き縋りたい者も少なくはない。そういった者はいつの時代も一定数は存在する――

お互いの利害が一致すれば誰がなんと言おうが関係ないのだ。マガトはこうして優秀な者を食客として複数抱えている。


帝国軍が視界に入ってからすぐにマガトは自身の食客の一人に命令する。彼もマガトの優秀な駒だ。


「あの帝国軍を狙え、挨拶だ」


「わかりました」


返事をした食客は第1軍の前から少し歩き距離を取る。そして詠唱を始め――彼の周りに火の玉が次々と浮き上がる。そしてそれらは彼の頭の上まで上りやがて一つの球状に近い大炎となる。大炎は近くの草木を少し焼く。急に現れた大炎のせいかその周辺は気温がぐっと上がった。彼は額から垂れる汗を服の袖で拭いながらさらに魔力を込める――


―――準備ができたことを告げマガトは命じる。


「やれ」


大炎〘プロミネンスノヴァ/太陽の吐息〙が放たれる。大炎自体は2等級の魔法である。食客は少しばかり珍しい魔道具を持ち、魔道具の効果により本来よりも優れた火属性を限定的にだが放つことができる。それは3等級に近い特殊な魔法を扱えるのと同等である。

この魔法は元々は射程距離に優れた魔法である。しかし魔道具により強化されたこれは建物一軒ぐらいは軽く吹き飛ばす。もはや戦術クラスの一撃である。


マガトはこれの強さ恐ろしさを知っているからこそ最初に選んだのである。多少の防壁を魔法で張ろうが直撃した後はさらに小炎が周りに拡散する。痛手を多くの者が受けるということは戦力を減らせることを意味する。マガトは傲慢ではあるが魔法に関しては知識がある。マガトの口が緩み、大炎が帝国軍に直撃し―――


しかし大炎は爆発も起きず

大きな音も立てることなく消えていった。


「‥なにが起こった?」


マガトの動揺も待たずに帝国軍は大きな声を上げ進撃を開始した。


「馬鹿な‥」


結果的にマガトの一撃が開幕の狼煙を上げる形となった。





―――マガト率いる第1軍から離れた所

王国第2軍、第2軍は帝国軍が見える少し前に戦闘準備を整えていた。もちろんこれはレオンによる命令だ。やはり混成軍のために連携面による力不足は否めないができる限り配慮はしている。

食料調達、補給部隊などそういった大事な計算ももちろんレオンが行った。本来は総指揮官であるマガトが指示をし行うモノであるが「そういった下賤なことは私の行うことではない」とレオンに押し付けたのだ。しかしレオンは最初から分かりきっていたが如く準備をしていた。こういった戦闘以外の面も含めてレオンは優秀である。故に城塞都市に今回の帝国軍を打破するために派遣されたのだ。


第2軍、その先頭に立つレオンは第1軍から放たれた大炎に気づいた。事前に魔法は‥と伝えたはずなのだが。


 レオンは大炎の行き先に目を凝らす。帝国軍から一人、大剣を掲げた者が走ってくるのが見えた。そして大剣を大炎に向け――大炎は消えてなくなる。そして帝国軍が活気づきこちらに向かってくる。


「…魔導殺し」


マガトの一撃は刺さることはなかったがレオンからして見れば、自分の目で敵の戦力を確認できたことに意味がある。そしてそれを大きな声で自身の――第2軍へと伝える。


「敵に魔導殺しがいる。帝国軍がくるぞ。魔法を扱える者は大剣使い以外を狙え。総員戦闘態勢!」



第2軍後方。周りには冒険者や傭兵で溢れている。その中でハートは前方確認する。そこに多くの人――軍隊が見える。


『あれが帝国軍なのか?』


ハートの横を歩くザックが答える。


「ああ始まるぞ」


『そうなのか?俺は何をすれば良いんだ?』


ザックは第2軍の先頭にいるレオンを見ながら答える。


「そりゃ俺等の大将が決めることだ。黙って従うだけ。とは言っても具体的な指示など来ないと思うがな」

『ずいぶんいい加減なんだな。まあ適当にやり過ごすだけだな』

「お前…緊張とかしないのか?この場で…」

『うーん。そういうの無くされてるんだよなー』

「なんだそれ?…」


ハートは事実を言ったまでなのだが、それはザック達には伝わらなかった。突然、先頭のレオンが声を上げる。


「‥総員戦闘態勢!」


ザック達は剣を抜く。ハートも全く使えない剣を構える。

第2軍、レオン達は帝国軍の右翼と対面する形となる。


「諸君等は正面の敵を抑えてくれ―――――私達王国騎士団が―――――武運を祈る」


ハートはレオンの指示があまりよくわかっていなかった。

それを察したザックがハートに説明する。


「要はあれだ。俺らが抑えて脚の早い馬に乗ってるお偉いさん方が裏を付く。そんな感じだ」

『なるほどな。でもなんか雑じゃねえか?』

「ああー。これはな多く殺し合うためじゃねえんだ。あくまでも()()なんだよ。それでも人は死ぬがな」

『なんか色々と複雑なんだな』


マイヤーが話をしているザック達に割り込んでくる。


「帝国軍がくるよー兄ちゃんー」

「すまねえマイヤー、よし行くぞ」


ザック兄弟はハートを置いて駆けていく。

周りにいた者達も追いかけていく。

彼らは彼らで武勲を上げたりなど生計を立てるためだ。

敵から武器一つ殺して奪うだけでも金になる。


ハートは一瞬で最後尾となるが慌てない。

初めてのことに一旦様子見するジャパンイズムは健在である。


これ最悪は死体に化けて死んだふり作戦もありだな。魔法飛んできたらすぐ逃げる。それだけは忘れてはいけない。

ハートは体を変化させ足元の雑草へと擬態する。

周りから見たら少しばかり深く生い茂っている様にしか見えなくなった。ハートのことを誰も見てなければの話だが…



『初手様子見や。先輩方頑張ってくれ』




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