ザック兄弟7
目的があるわけでもなく、名誉や栄誉、名声など縛られず自身の為に挑み続ける。結果としてそれが未知なる事柄の発見に繋がることもある。本来、冒険者とはそういうものだ。だが、近年の冒険者とは無一文からでも成り上がることが可能であるブランド力(ダンジョン探索など)を持っている。成った者自体は数は少ないが、成った者はほとんどが栄光を手に入れているため本来のソレとは違うがこれもそういう時代なのかも知れない。傭兵との違いは多く語られているが戦闘における1番の違いは対人かどうかであろう。冒険者の方は近年の傾向から対魔物が多く見られ、傭兵は戦争に参加すること自体が目的なため必然的に対人戦闘が多くなる。戦争に魔物などが使われることもあるが多くはない。対人戦闘となると暗殺者と傭兵に違いはないのではないだろうか?裏のみで限定するならば暗殺者と傭兵に違いはない。傭兵が魔物と戦うことはないわけではない。もちろん冒険者と兼業している者いる。冒険者でも戦争に参加する者もいる――
『へえーそうなんだ』
眠気は体質上ないがあくびが出そうなくらい退屈な話だ。仮にあくびが出るならもうかなりの数はでているだろう。正直に言うと冒険者だろうが傭兵だろうが興味がない。手に握られている紫色の輝きを放つ球体で再び天井のぎりぎりを狙い遊び始める。確かに美しい球体かも知れないがこれは眼球である。ザックもその光景を喋り続けながらも見ている。空中でクルクルと眼球は回る。天井近くに達した時に眼球の水晶体がこちらを見ているように目があった。不気味に感じたザックは話を変え始めた。
「ハート‥それどうするんだ?売るにも売れないぞ」
サードアイクラスの素材なら金貨50枚は下らないだろう。どんなにぼったくられたとしても金貨5枚はする。ただ問題とするならばハートの立場だろうか。冒険者としてのランクは低い。他に使えるモノもない。偶然拾った?そんなわけがあるはずがない。ようは信用が無いためこのまま持っていったとしても盗んだとしか見られないのだ。
『え?売れないのか』
こんなに紫色の輝きを放っているの売れないだと?ほらお目々のキュートなこと。特にこの上から見たときの上目遣いすばらしい。下からだと‥ん?なにか小さいがこれは数字なのか?なんだこれわ?
『ザック、これなんだ?』
ザックに紫色の輝きを放つ球体を渡す。眼球を下から覗き込む。やはり小さいせいか目を細めて見ている。
「これはシミじゃないのか?数字に見えないこともないが‥」
そこには数字として読むなら「3」と書かれている。3つ目の目玉だから3か?他の目玉にも数字が書いてあったりして―――まあそれは調べられないし何よりも小さすぎてぱっと見だけじゃわからないだろう。
『しかしこれどうす「袋をやるから入れとけ」』
紫色の輝きを放っているがそれは眼球であることには変わらない。ザックは強引にハートに布袋を押し付けた。ハートは紫色の輝きに名残惜しさを感じつつも袋に眼球をしまった。
ザックは立ち上がり洞窟の外に出ていく。
手を目の上にかざし空を眺め天候を確認する。
朝よりも雲が多くなっている。
雨が降りそうな予感が…
このままここで一晩は過ごしたくはない。
ザックは急いで洞窟に戻り城塞都市に向かう準備をする。
ハートも立ち上がり洞窟から先に出る。
「マイヤー起きろ!」
反応のないマイヤーを叩き起こしにかかるザック。
胸ぐらを掴み揺らし始めた、
「こんなに食べれないよ・・・」
「いい加減起きろ!」
ザックは魔法を使い小さな水球をマイヤーの顔めがけて落とした。
「ヴェッ」
顔に水をかけられたマイヤーは飛び起き周りをキョロキョロし始めた。
「起きたか」
「あれ?顔がビシャビシャ‥なんで?」
「マイヤー起きたならさっさと支度しろ、行くぞ」
「兄ちゃん待ってよー」
やはり兄弟漫才だな。
一連の様子を洞窟の外から見てハートは改めてそう思ったのであった。




