ザック兄弟3
たしかにサードアイの顔を捉えていた。
だがハートの攻撃は空を切る。
『え?』
と同時にサードアイの棍棒による攻撃がハートを直撃。
『へゔぅ』
ハートは地面に叩き落とされた。常人であれば骨ごと砕かれるであろう一撃だが、グニャリとカラダがうねると元に戻っていく。そこに立つのは気に入っていたスーツ姿ではなくいつもの黒ローブ姿だ。
「オイっ大丈夫か?」
ハートの元までザックとマイヤーがやってくる。
『ああ。ダメージはない大丈夫だ』
「・・・そうか。まあ後で聞くとしよう…」
物理は平気なんだよ。
マイヤーはハートの全身の姿を見る。
「あれーさっきと服が違うよ?」
そういえば元に戻ってるわ。
スーツ姿けっこう気に入ってたのに。
『ああ。これはなんというか。正装なんだよ…さっきのアレが特殊っていうか…』
「なんというか、怪しい見た目してるね‥」
『・・そんなことよりザック、アイツの棍棒はどういうカラクリだ?』
ザックは考えていた難しい顔をしたままだ。
『わからない。だがお前が攻撃したサードアイは消えてしまったことは確かだ。お前は別の方向から攻撃をくらっていたように見えたが。今度は魔法で調べてみる。』
なんだよあのデカブツ。
見た目は脳筋タイプのくせにやるじゃねえか。
てか最初から魔法使えんならそれで調べろよ。
『クソっ!わからんからもう一発かましてくるわ、ザック頼んだ』
そうザックに言って走っていくハート。
『オラァ』
サードアイの顔を捉えたはずだったがまたもや攻撃は空振りした。そしてまたカウンターで吹き飛ばされる。
『はぶっ』
うん。これデジャブかな?
『ザックわかったか?』
「あとちょっとでわかりそうなんだが‥」
何を持ってあとちょっとなのか。
『‥わかった。もう一回いってくるわ』
ハートは飛び出す。そしてまた吹き飛ばされる。
『うがっ』
もうテイク3ですよ。
てかこれ見えてるのニセモノじゃね?
幻影を見せるとかそういう能力だろ。
煙霧が本体隠してます的な。
「ハートわかったぞ。見えてるアレは幻影だ!〘マジックサーチ/魔力探知〙で武器から魔力を探知した。あの武器が魔力を使い煙霧を生み出して幻影を作り出している」
ですよねー。
本体か偽物かわかればいいんだよ。
てか幻影なら本体みればいいだけだろ。
でも幻影つーか煙霧どうするか。
本体が見えないしな。見えない?
あれ?もしかしてこれいけるんじゃね?
ハートは【どこでも目がミエール】を発動した。
やはりな。これなら自分の目で本体が見れる。
そこには見えている幻影よりも少し横に本体が―――
『ハッハッハ!しゃあいくぜ!』
ハートは再び走り出した。
ザックは思わず叫ぶ。
「おいっ待て!ソイツは―――」
本体が見えたハートにザックの声は聞こえなかった。
ハートは今度は本体に向かって拳を――
「ヴォオ?」
サードアイはなぜ自身がわかったのか?という具合にほんの少しだけ驚いた声をあげたがそれでも構わずハートに一撃を繰り出した。サードアイの右手に持った棍棒がまたハートに迫る。
『それはさっき見たぜ!』
ハートが棍棒をひらりと躱した。
だがハートの横から新たな棍棒が――
『げふっ』
ハートは吹き飛ばされ木に激突した。
常人なら何回死んでいるだろうか?
もちろんハートにはダメージはない。
またカラダを元に戻し立ち上がる。
『なんで?』
完全に躱した。
今の不意打ちはどこからきたんだ?
その答えはサードアイの左手にあった。
先程まで右手に持っていた棍棒が消え、今は左手に握りしめている。ザックが遠くから大声でハートに呼びかける。
「ソイツは武器の出し入れが自由だぞ気をつけろ!」
先に言えよ。
地面に落ちている小石を蹴り飛ばすハート。
だがザックの忠告を聞かずに走り出したのはハートだ。




