魔導殺し5
やることがないので俺も眠りについた。
「おい起きろ、飯だ」
看守?だろうか。それらしき男が食べ物を持ってきた。食べ物といってもカチカチの硬いパンだ。それが一つ。それだけだ。爺さんの方を見ると俺と違っては硬いパンとスープ?と2つ配られていた。
「やらんぞ」
爺さんはそれだけ言うとさっさと食って寝てしまった。またしばらくするとコツコツと看守の足音が。
「今から仕事だ。暴れても無駄だからな。お前の首には魔法が掛けられた首輪をつけてある。何か問題を起こそうとしてもお前はすぐに動けなくなる。とにかくついてこい。」
言われるまで気が付かなかったが首輪がつけられていた。なるほどこれで動けなかったのか。言われたままについていく。
「お前、得意な武器はあるか?」
武器か。やはり使い慣れた大剣か。
「デカイ剣が欲しい。それが1番使える」
看守に連れられ別の部屋に入った。武器のたくさんある小部屋だ。短剣、弓、剣とたいていのモノは何でもあった。
「好きな武器を選べ。選んだらあの幕の向こう側に行け」
俺は大剣を選んで言われた通りに幕の奥へと入っていく。すると開けた場所に出た。ここで殺り合うのか。周りを見ると高い壁に囲まれており、壁の上には大勢の仮面を付けた者が。後ろを振り返ると武器を選んだ小部屋が消えていた。逃げるのは許さないということか。
――どこからか大きな声がした。
「皆様、大変お待たせ致しました。それでは始めさせてもらいます。今回は初モノの挑戦者でございます。対戦者は――」
正面の壁が開く。ズゥン――ズゥン―――
大きな足音が響く。ズゥン――ズゥン―――
大きな体。ズゥン――
大きな1つ目。ズゥン――ズゥン――
額には大きな一本角。ズゥン―――
「――サイクロプスです」
観客が騒ぎだす。
「ヴォオオォオオォ!」
サイクロプスの咆哮―――
壁が震え肌がビリビリとするように響く。圧倒的な殺気により先程まで騒いでいたとは思えないほどに観客は黙ってしまう。
「ヴォォォオオオオォォ!」
サイクロプスは走り出す。震える音を立てながら俺を見つけた―――
「ヴォォォ!」
大剣を構える手は震えている。
恐怖?それを感じてる暇はない。
大きな腕が降ってくる。思わず後ろに大きく下がる。大きな音を立てて先程までいた場所には穴が空いていた。震える手を力強く握り直す。また腕が降ってくる。前に出るしかない――
「ウラァ」
声を出さなければ動けない。必死にギリギリを避ける。そして大剣を腕に向かって振り下ろす。ガンッと響きながら大剣は弾かれる。
「え?」
と弾かれたことを考えて―――
大きな拳に吹き飛ばされる。
「うぅ‥」
大きく音を立て壁にぶつかり勢いは止まる。
あぁ痛え。油断した。
サイクロプスの腕が大剣より硬い―――
「ヴォォォオオォオ!!」
サイクロプスは愉しんでいる。己が強者と言わんばかりに。
「挑戦者が一撃をもらってしまった!なす術無しか?」
大剣を突き立てて壁際から立ち上がる。
そしてギヴンは駆け出す。
サイクロプスはまた俺に拳を――
ドンと音を立てて砂煙が舞う。
拳に感触がないことをわかっていたのか直ぐに立て直そうとするが―――
「遅えよ」
拳を踏み台にして高く飛ぶ。
剣を思いっきり振り上げ全身全霊を込めて叩きつける。
グシャリと音を上げながら大きな1つ目に突き刺さる。
「ヴォォォオオオオ!」
サイクロプスは痛みに耐えきれず暴れだす。ギブンはすぐにその場を離れる。渾身の一撃を放った左手はまだ震えている。
「ヴォォォ‥」
目に刺さった剣を引き抜こうとするサイクロプス。
すかさずギブンは左手で力強く膝裏を殴る。
サイクロプスはバランスが取れなくなり仰向けのまま倒れる。
ギブンは大剣を引き抜きもう一度、目に向かって突き刺す。
「ヴォォォオオオオ!」
またもや暴れだす。が、次第に動きがゆっくりとなっていく。
「ヴォ‥」
動きが止まる。近づいてギブンは大剣を引き抜いた。
「サイクロプスが倒されたあぁあ!挑戦者の勝利だぁ!!」
声と共に観客が湧き始める。
まだここにいなきゃいけないのか?
観客の声とは逆に意識が遠くなっていく。
俺は――限界―――




