魔導殺し6
「うっ…」
起きると牢屋の中にいた。
早々に向かい側から話しかけられた。
「赤腕よ。お前さんなかなかやるのぅ」
サイクロプスにはかれこれ10人以上の挑戦者がいたが生きて帰った者はいなかった。俺が殺られていれば次は爺さんがサイクロプスと闘うハメになるところだった。また何日かすれば俺らは闘わさせられるとのこと。爺さんの話は以上だ。
体の傷や疲れはあったはずだがいつのまにか回復していた。見世物兼金稼ぎ道具は大切に扱ってくれるようだ。裏なのだがそういう所はちゃんとしているんだな。
「ウラァ!」
敵は腹を貫かれ息が途絶える。
「勝者は挑戦者だぁ!!」
こうしてギヴンが勝つ度に観客は盛り上がる。
裏の闘技場ではギヴンの注目を浴び始めてきた。
ある日――
「――おい。ついてこい。お前に用があるお方がいる」
突然呼ばれ看守の後ろを付いていく。しばらく歩いていると知らない部屋に案内された。そこは裏の闘技場とは思えない小綺麗な部屋だった。中には一人の男が座っていた。顔は仮面を被っていてわからない。
「やあ。きてくれたね。さっそくで悪いんだけど君を雇いたいんだ。こんな所で働かされるのは嫌だろ?もちろん?君の腕を買ってるんだよ。それを踏まえてだ」
「・・・」
「もし引き受けてくれたら、あるモノを君にあげようと思ってさ。ものすごく貴重なんだよ。君が一生働いても買えないくらいさ。実物を見せたいんだけど、とても大きくて何よりもめちゃくちゃ重いんだよね。僕じゃあ持ってこれないんだよね。」
「・・・」
「じゃあ契約成立ってことで!よろしく!さっそくで悪いんだけどこれとこれを」
男は紙と仮面を渡してくる。
紙を広げると知らない男が浮かび上がってきた。
「その男を殺して欲しいんだよね。一応顔を隠すためにそれつけてね。場所は――」
ギヴンはそれから仕事を引き受けこなす日々が続いた。不思議と対象は皆魔法が使える者だけだった。仮面の男の意図だろうか。まあそうだろう。そして魔法使いを簡単に殺せるのには訳があった。
「なんだ貴様!?噂の魔導殺しか?」
魔法使いはギヴンに魔法で攻撃を―――
―――魔法は剣に吸い込まれていく。
魔法が使えるという絶対的なアドバンテージ。
それさえ使えれば力や体格など関係ない。
故に使えない者を見下し傲慢になってしまう。
しかし、それを取り上げられたらどう思うだろうか?
―――答えは絶望である。
「ぎゃあぁああ」
多くの魔法使いの悲鳴は長きに渡り続いた。
そして続けば続くほど、
一部の魔法使いは怯え恐怖せざるを得ない。
数少ない賢明な魔法使いたちは口を揃えてこう言った。
「魔導殺しに会ったら逃げろ」と。
魔法が効かないのだから逃げればいい。
それで勝たなくても他にも手がある。
普通に考えれば当たり前のことだ。
しかし残念ながら魔法使いという生き物は、
自分は優れているからこそ魔法が使える。
劣っている状況など考えないのだ。
今までそんな状況に合ったことなどないのだから。
またこうして【魔導殺し】に魔法使いが1人また1人と命を奪われる。
しかし【魔導殺し】も長くは続かなかった。
ハイドフェルド帝国、皇帝ダリア・インペリアリスが【魔導殺し】討伐を命じたからだ。
そしてこの討伐こそがギヴンの運命を大きく変えた。




