魔導殺し4
意識を取り戻し目を開けると暗闇。
「うぅ‥」
――喋れない?
どうやら口元まで何かで覆われてるようだ。
覆われたモノを外そうとするが仰向けのまま体が動かない。
ココはどこだ?
俺は死んだのか?
あの仮面の女はどうした?
徐々に落ち着きを取り戻す。
何故かはわからない。
どうやら俺は生きているようだ。
女は強かったな。魔法か勉強になったな。
しかし体が動かせない。じっとしていると、空間全体が小刻みにゆっくりと波打つように揺れている。俺は移動されているのか?
揺れが止んだと同時に微かに人の声が―――
「これをどこまで?」
男の声だ。
「ハイドフェルド帝国、帝都だ」
ハイドフェルド帝国?
どこだそれは?聞いたことがない。
「かしこまりました。では乗せ替えて運びましょうか」
空間が再び揺れる。ドコォンと大きな音を立てた。
そしてまた空間は小刻みに揺れだす。
今度は少しうるさい。相変わらず動くこともできない。少しうるさいが寝ることにした。
ザワザワと声が。
目を覚まし――相変わらず暗闇だ。
人の声が大勢聞こえる。
ザワザワと聞こえていたが段々に静かになる。
しばらくするとギィーと音が。
どこかへ着いたのか?
「コレをどこへ?」
「空いてるトコにでも置いておけ」
「拘束はどうしますか?」
「いつも通りでいい」
また運ばれていく。
ガチャンと音が鳴り止まる。
すると暗闇だったはずが光が見えてきた。眩しい。
天井か?ここはどこだ?
先程は眩しかったがよくよく見ると薄暗い。
自然に体が動かせるようになった。口の覆いを外す。
「ここはドコだ?」
立ち上がり周りを見渡す。
――小さい部屋――薄暗い――鉄格子?
鉄格子まで近寄り左手で力強く掴む。
かなり硬いなこれ。
今度は殴る。ガシャっと音が。
だがビクともしない。
鉄格子の前でなんとか壊せないか試してみる。
その度にガシャガシャと鳴り響く。
「赤腕のお前さん。無駄なことはやめなさい」
声は鉄格子の向かい側から。
鉄格子に夢中になっていたが、鉄格子の向かい側には同じような小部屋に入れられている爺さんがいた。鉄格子に顔を近づけ、声の主に聞く。
「おい、ここはどこだ?」
爺さんは頭を掻きながら答える。
「牢屋の中じゃよ」
牢屋?全く答えになってない。
「どこの牢屋だ」
「すまんな。詳しい場所はわからんな。ただお主が連れてこられた理由は教えてやれるが」
理由?目的?俺は何かされるのか?
「お主は闘技場に参加させられるのじゃ。強制的に。ワシはすでに参加済みだがのぅ」
そのまま会話をしばらく続けた。
どうやらココはハイドフェルド帝国の帝都の中にある裏の施設の内の一つの闘技場に参加させられるための牢屋らしい。俺たちは闘技場で魔物と闘わされる。見世物であり賭け事にされるようだ。もちろん客は裏の人間やお偉いさん。死ぬまで闘わされる。爺さんの他にもココにぶち込まれた奴もいる。仮面の女は理由はわからないが俺を殺さずにココで活用させることにしたみたいだな。俺としては生きているだけでありがたい話だ。魔物の話も詳しく聞きたかったが爺さんが寝てしまった。魔物と――
「殺り合いてぇ‥」
真っ赤な左腕の疼きは止まらない。




