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外伝 人魔大戦3

大変遅くなりました!財布落として家入れなかったのですが、お金だけ取られて全部戻ってきました。よかった‼︎

フェンリルに向かって遠方隊神職3人の魔法、その後方からも多数の兵隊から弓、魔法が繰り出されていた。

さらに近接隊の神職7人各々がスキルを放つ。


「―――雷双!」 

「―――閃爆!」

「―――壊槌!」

「―――流剣!」

「―――震撃!」

「―――蛇突!」

「―――舞襲!」


近距離遠距離、四方八方からの攻撃がフェンリルを襲う。


「―――天狼」

フェンリルの周囲に7つの小さな焔が出現した。

焔は縦横無尽に動き回り、人族の攻撃を消し去っていく。


フェンリルは、唖然とした近接隊に対し身体を回転させながら全方位にブレスを放つ。

人族の者達がブレスを防いだところへ、動き回っていた焔が襲い掛かっていく。


「く・・・っ、ちぃ!!」


近接隊の人族達は、一旦後方へ退いた。

人族は数で圧倒しているものの、フェンリルを攻めあぐねていた。


「どうした!?こないなら、俺から行くぞ?―――天狼」


戦場の気温が急激に上がった。

戦場の上空に、焔が3つ出現した。


「っ!・・・なっ・・・ば・・・ばかな・・・」


3つとも、先刻消滅させた焔よりも巨大であった。


「け・・・消すぞ!!こんなものが落ちてきたら・・・」


人族の意識は上空へと向けざるを得ない。


「おい、俺を無視していいのか?」


赤い魔族フェンリルが前方から迫る。


「くっ・・・俺達でフェンリルは止める!遠方隊は上空の焔の対処を頼む!!」


遠方隊は上空の焔、近接隊7人はフェンリルと対峙することになった。


今まで遠方隊の攻撃を処理していた焔7つ全てがフェンリルと共に攻撃に移る。


フェンリルと焔の連続攻撃に、近接隊は対処しきれなかった。


「くっ・・た、対処しきれ・・ぐっ‼︎うぉおおお!」

「ちっっ・・・フェンリルーーー!」

「っく・・せめて・・一太刀!!」

「このまま・・では・・・町には・・俺の家族がいるんだ!」

「がぁアアア!邪魔だ!この糞焔がぁ!」

「た・・たとえ・・燃やされようと!!」

「ぜってえ・・先には進ませねえ!!」


近接隊は焔に身体を燃やされながら、フェンリルへと突き進む。


一瞬、その気迫にフェンリルはとまどった。


さらに、その人族の後方上空から弓、魔法の雨がフェンリルへと飛来する。


「上空の焔は消せません・・・。私達はここで終わりです。ですが!」


遠方隊は上空の焔の処理は諦め、フェンリルへ狙いを変えていた。


「っ!!ぐ・・・」


意表をつかれたフェンリルは全ての攻撃を捌くことはできなかった。


その直後、3つの焔が地面と衝突する。

周囲は光に包まれ、爆風が巻き起こる。


焔に完全な耐性を持つフェンリルは身をかがめて爆風を耐えながら、消えゆく人族を見ていた。


『私は人族と戦争なんてしたくない』


フェンリルは、アングの言葉を思い出していた。


爆風が止むと3つの巨大なクレーターができており、人族は全て消滅していた。

フェンリルは、ゆっくり前へと進む。


「まったく、四魔天とは恐ろしいものですね」


日を背にした人族がフェンリルに声をかけてきた。


「・・・お前一人だけか?」


「後方に世界中から兵が集まってきていますが、出撃できるのは当分先でしょうね。私一人です」


「・・・てめえも、俺の邪魔をするつもりか?」


「いえ、邪魔なんてしません。むしろ、フェンリル様のお手伝いに来ました。おそらくあなたの目的は・・・私、ダダですから」


現れた人族は、騎士の恰好をした女ダダであった。


「・・・てめえがアングを殺したのか?」


フェンリルは自分の殺意が薄れていたことに気づいた。

身を震わせ流れる血を吹き飛ばし、再度身体に殺意を漲らせる


「そうです」


聞き終えると同時に、フェンリルはブレスを吐いた。

ダダは横へ躱す。


「お待ちください!あなたが本気をだせば私などすぐに死んでしまいます!

 せめて私を殺すのは、アング様が何故死んだのか聞いてからにしませんか?」


「・・・」


フェンリルは臨戦態勢を解かずに耳を傾けた。


「フェンリル様はアング様が理想としていたように、人族と魔族の争いを無くすことができると思ってますか?」


ダダの問いに、フェンリルは何も答えない。


「人族と魔族は、互いに血を流しすぎ、恨みを作りすぎました。フェンリル様がアング様を殺されて抱いた憎しみを、私達人族は皆が抱いているんです」


フェンリルはゆっくりダダの方へ歩き出す。


「先程フェンリル様が殺した人族の家族、友人は一層魔族への憎しみを増大させました。アング様の理想は、憎しみを抱く者にとって邪魔でしかないんですよ」


フェンリルはダダの目前で立ち止まる。


「人族と魔族は憎しみ合うべきだと思いませんか?」


「過去の魔族への憎しみ、今日生まれた憎しみは全て俺が背負う。

 お前を殺し遠くへと去る俺を、人族は憎み追ってくる。

 対魔族ではなく、対フェンリルになればそれでいい」


ダダの上空に焔が出現する。


「・・・無理ですよ。フェンリル様は人族のことだけでなく、魔族のこともわかってないんですね」


微かに笑みを浮かべたダダを、焔が押し潰した。

周囲に静寂が戻った。


「・・・疲れた、な・・・」


魔力を使い果たし、フェンリルの赤く輝いていた身体は、全身白く変色していた。


おぼつかない足取で歩く。

足跡を消そうともしない。

追われるならば応戦し、力尽きればそれでもいいと思っていた。


「来るなら来い・・・。お前達の憎しみは、俺が全て引き受ける」


フェンリルは囁き、東南の森を目指してゆっくりと歩き出した。


フェンリルはわかっていなかった。

アングを心の底から慕う者が数多くいたことを。

ロキが本当にアングを愛していたことを。


数日後ロキ率いる魔王軍がエチゴへと攻め込み、世界中の人族を巻き込んだ大戦が始まった。


――――――――――――――――


俺は、血を流しながらただ東南へと歩き続けていた。

エチゴを出て何日経ったのかも数えていない。


途中人族の旅商人同士が噂話をしているのを聞き、ロキが軍を率いてエチゴへ攻め込んだことを耳にした。

だがエチゴへと戻ろうとは思わなかった。

ロキを止める気も、人族を殺す気も起きなかった。


俺のしたことは、単なる鬱憤晴らしにしかならなかった。

虐殺にしかなっていなかった。


もはや何もしたくなかった。


森に着いてからもただ歩き続ける。

周囲の野良モンスターは俺に近寄りもしなかった。


しばらくすると、日の光が射す場所に辿り着いた。

光を浴びて横になる。

このままここで寝続けて、いつか来る人族に殺されるのもいいかもしれないと思った。


しばらく寝ていると、その時がやってきた。


「おい!怪我してるぞ⁉︎大丈夫か⁉︎」


人族の男は、俺に駆け寄ってきた。


「・・・いや、大丈夫じゃあない。辛いから、早くトドメをさしてくれ」


「っ!しゃべれるのか⁉︎お前魔族だな⁉︎」


「そうだ。しかも俺はあの四魔天、フェンリルだ。俺の首は高く売れるぞ?」


「よんまてん?魔族の種類か?なんだそれ。・・・名前はフェンリルなんだな⁉︎フェンって呼んでいいか?おれはグレン。よろしくたのむ」


こいつ人間のくせに魔族の俺に馴れ馴れしく話かけてきやがる。

そういえば、人族でも北の人間以外はあまり魔族を憎んでいないと聞いたことがある。


「よろしくされねえよ。俺の言ったことを聞いてなかったのか?いいから早く殺せ」


「なんでだ⁉︎そんなことしないよ。俺、この森に来て10年経って初めて会話できる奴と会ったんだ。俺と友達になってくれよ、フェン」


「・・・は・・はあ?友達だと?魔族の俺と、人族のお前が?」


一瞬、アングの顔が頭をよぎった。


「そうだ。決まりだな⁉︎俺の家へ来いよ。介抱してやるから」


グレンは俺を抱えて行こうとしていた。強引な奴だ。

腹が立ったので、意地でもここを動かないことに決めた。


「ん⁉︎フェン、お前重いな。よっと」


グレンは俺を担ぎ上げた。


「え・・えっ⁉︎て・・てめえ、どうやって⁉︎」


俺は今地面に爪をたて全力で身体を固めていた。

人族なんかに担ぎ上げることはできないはずだった。


「俺だって鍛えてるんだ。お前一体くらい持てるぜ⁉︎いくぞ」


俺は家に運ばれ、無理矢理介抱された。

グレンは閉じた俺の心をこじ開けて入ってきた。


俺はこの日、グレンに救われた。


――――――――――――――――


「着いたぞ、グレン」


「ようやく着いたな、フェン。ここが魔界か」


俺とグレンがサガミを出発して10日。

来たくもなかった魔界へ到着した。


「ここにヨルムもいるんだろ?他のフェンの知り合いも紹介してくれよ」


「俺のことを良く思っている奴は少ないと思うがな。まあ、ついてこいよ」


俺は昔住んでいた城へと歩き出す。

昔、俺は自分勝手に行動し魔界から去った。


過去にけりをつける時がきた


これで外伝終わりです。

またちょこちょこ本編頑張りますので、よければ是非一読お願いします

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[一言] とても面白かったです!続きを楽しみにしています☺️
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