オルガノン幽館 2
投稿が遅れてすみません!!
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ユウリはナイフで攻撃してくる雅から距離を取りながら様子を窺っていた。
しかし、距離を取ると魔法で攻撃してくるので、雅に攻撃が当たらない程度に応戦した。
(……この霧を吸わないために……あまり動き回らない方がいいな)
ユウリは出来るだけ雅の魔法攻撃を最小限の動作で避けると、雅が突如距離を詰めてきており、剣でナイフを受け止めた。
「――ッ!?」
しかし、雅の攻撃を受け止めるため踏ん張っていた片足の力が急に抜け、体勢が崩れてしまった。
後ろに倒れ込む形になると、ユウリは雅を動きの流れに沿って、後ろへ蹴り飛ばした。
蹴りの勢いは弱くしたので、雅は軽く転がっただけで済んだ。
ユウリもすぐに立ち上がろうとすると、足がガクついていて上手く起き上がる事が出来なかった。
「…何で?」
急な身体の以上に戸惑っていると、今度はだんだんと頭がクラクラとしていき、ふわふわとしていく感覚が襲った。
(――これ、毒ガスじゃなくて……アルコール、酒の霧か!?)
ユウリは霧をこれ以上吸わないように息を止め、短時間でこの状況を乗り切る手を考えた。
しかし、雅の攻撃がやむ事はなく、若干霧を吸ってしまったせいもあり、上手く考えがまとまらなかった。
剣で上手くナイフをいなすが、ナイフの方が小回りが利き、雅は二刀流でもあるので、今の状況で完全に躱し切る事が出来ず、多少の切り傷は受けた。
ユウリが剣を振り雅から離すとさらに雅がナイフを立てて、突撃してきた。
その雅の目には何故か涙が浮かんでいた。
それに気付いたユウリはその場に剣を落とすと、突撃してきた雅の左腕を自分の左手で引き、雅が体勢を崩すと右手を手刀の形にし、首元を叩いた。
首元の衝撃により雅は目の焦点が合わなくなって、徐々に気を失い倒れた。
「……これで一旦大丈夫だろ」
ユウリは気を失った雅を、霧が溜まった下ではなく、できるだけ高い位置に寝かすため、一時的に棚の上に乗せた。
雅を寝かすとユウリは剣を拾い、部屋の扉に向かって剣を振るが、扉に当たる前に魔力の障壁に当たり、弾かれてしまう。
次にユウリは魔力を流して剣を再び扉を勢いよく突いた。
「……まだ、ダメか」
魔力が流れている状態の剣を突くが、魔力障壁とぶつかると火花が散り、剣が弾かれた。
ユウリは弾かれた剣に今度はさらに多くの魔力を流して扉を突いた。
すると、扉は爆発したかのように粉々になった。
ユウリは雅の目が覚めるのを待つため、少し疲れた身体を部屋の端にあった椅子に預け、少しばかり寝る事にした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ユウリとともに部屋に入った雅は部屋を探索していると、少しずつだが意識が朦朧としてきていた。
朦朧とする意識の中、霧の奥でユウリが何か言っているような気がした。
恋人であるフェルカの事を心配しているのだろうか。
そんな考えと同時にフェルカとイチャつく光景が、雅の頭の中にチラついた。
(……ユウリ君、フェルカさんと付き合ってるんだよね。……何で、何でッ!?)
雅はユウリとフェルカが付き合っている事に何か黒い感情が沸き上がってきた。
そして、気付けばユウリに向かって風魔法を放っていた。
雅はそのまま腰に装備しているナイフ二本を抜き取り、ユウリに攻撃をした。
ユウリは低い体勢で攻撃を受け止めたが、受け流されそうになると雅は体勢を変えてナイフを押し付けた。
ユウリがナイフを押し返し後ろへ下がると、雅は風魔法で攻撃を繰り返した。
(……何で。……私の方が先に出会ったのに!私の方が好きなのに!ユウリ君は、フェルカを選んだのッ⁉)
雅は黒い感情に飲まれると、ユウリの攻撃を躱しながら距離を詰めると、本気で斬りかかった。
しかし、攻撃は止められたが、ユウリは突如床に膝を着き、チャンスだと感じた雅はナイフを押し付けた。
だが、その力を利用され、前方へ蹴り飛ばされて転がった。
雅はすぐさま起き上がると、ユウリが苦しそうな表情で上手く立ち上がれていない様子を見ると、再び攻撃を繰り出した。
雅の攻撃はユウリに多少いなされたが、それ以外はユウリを傷つけた。
ユウリに対する黒い感情が沸き上がると同時に、ユウリがボロボロになっていく姿に罪悪感や焦燥感も沸き上がり、色んな感情がごちゃごちゃになっていった。
そして、色んな感情が溢れ出し、気付けば雅は涙を流していた。
雅はナイフを立ててユウリに突っ込んだ。
その事にユウリは驚いた様子だったが、雅の攻撃が避けられ首元に衝撃がくると、目の前が暗くなった。
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雅を気絶させ扉も破壊した後、ユウリは雅が目を覚ますのを待っていた。
「……んん」
ユウリが椅子に座り待っていると、雅が目を覚ました。
雅は少しぼーっとしていたが、徐々に気絶する前の事を思い出したのか、雅は自分のしたことに頭を抱えていた。
「…起きたか。……大丈夫か?」
「……うん。なんか色々ごめんね、ユウリ君。…色々感情がぐちゃぐちゃになっちゃって」
「大丈夫、整理して話そうぜ」
そう言ってユウリは雅の頭を軽く撫でた。
(……それがズルいんだよ)
ユウリの態度に雅はムスッとしていたが、ユウリの言う通り、自分の気持ちを整理して言葉にした。
「…私ね。さっき、ユウリと恋人になったフェルカの事が羨ましくなってたんだ」
「……それって」
「…うん、そのまさかだよ。私はユウリ君の事が好き。ちゃんと言ったのは初めてだね」
雅は自分の気持ちと向き合いながら、ポツリポツリと言葉を伝えた。
「……雅が俺の事を好きなのは素直に嬉しいよ。…でも、俺にはフェルカが――」
「うん、知ってる。…でもフェルカ以外にも、セリナやアンナさんとかも大事なんでしょ?」
「……まあな」
ユウリは今までの人生で一番濃い時間をフェルカ達と過ごしている事もあり、ユウリの中ではセリナ達も大事な存在になっていた。
「……だからね、私もその中に加えて欲しいんだ。…それに、フェルカとはまだ結婚してないんでしょ」
「……それは」
ユウリは雅の言葉に反応し振り向いた瞬間、頬に柔らかい物が触れた。
それは雅の唇だった。
雅はユウリの不意を突いて、頬にキスをしていた。
「――お、おまっ⁉」
「……だからさ。これから私がフェルカよりもユウリ君の事を好きにさせてみせるよ」
「……」
「言ったでしょ?ユウリ君の事、諦めないって。…だから、これから覚悟してね」
そう言った雅は、キスをされて顔を赤らめているユウリとは逆に、覚悟を決めながらも満面の笑みを浮かべたのだった。
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