元凶
最近、外が暑いよ~。。
城に入ったユウリたちを待っていたのは、第一王子のクレイだった。
「よお、クレイ。来たぜ」
「呼び出してすまない。だが、今回の事は王に直接説明をしておいた方がいいかなと思ってな」
「まあ、確かにな」
そう言いながらユウリたちは謁見の間に向かった。
謁見の間に着き扉を開くと、国王であるブライドが座っていた。
「父上、ユウリたちを連れてまいりました」
「うむ、ご苦労である。・・・・・・さて、今回の事だが」
「ああ、邪神教の事だろ?悪いが今日は疲れたんだ。手短に話すぞ」
ユウリはブライドに邪神教の事を話すと、ブライドは頭を抱えて悩んでいた。
まさか邪神教という、世界全体を敵に回すような集団が出てくるとは思ってもみなかったのだろう。
悩んだ結果、ブライドは今後の事を少し考えたいと言い、今回はそのまま解散になった。
解散すると、ユウリたちはブライドの手配により部屋を用意してもらい、そこで今日は過ごす事になった。
「いや~、まさか好待遇で泊まれるとはな~」
「部屋はどんな感じなんだろうね?一緒に寝れるかな?」
「ちょっとフェルカ。ルリもいるんだから、そういうのは無しよ?」
「分かってるよ~」
(・・・・・・アレは)
使用人に案内され部屋に向かっていると、ユウリが急に立ち止まった。
「・・・ん?どうしたの、ユウリ?」
「・・・悪い、先に部屋に行っててくれ」
ユウリはそう言い残すと、城の庭園に向かって歩いた。
庭園に出て少し入り組んだ道を進むと、椅子に座って夜空を見上げている人影があった。
「そこからは何が見えるんだ?」
「ーーッ!?」
ユウリが人影に話しかけると、人影はビクッと反応をした。
すると、人影はユウリを見ると目を見開いた。
「あ、ああ・・・」
「久しぶり、アリサ」
「・・・ユウリさん」
アリサは椅子から立ち上がると、ユウリに抱きついた。
抱きついて来たアリサが巻いていたので、ユウリはアリサの頭を撫でて慰めた。
しかし、恥ずかしさのあまりアリサはすぐに離れ、涙を拭っていた。
そして、その顔はほのかに赤かった。
「でも、生きててくれて良かったです」
「アリサも元気そうで良かったよ」
「・・・・・・ユウリさんは鈍感です」
「・・・ん?」
アリサのボソッと言った言葉はユウリには聞こえていなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
あの後、ユウリとアリサは少し話してから城の中へ戻った。
そして、アリサと別れて部屋に向かっていると、廊下で和馬と鉢合わせた。
「・・・・・・久世」
「・・・宮間か。傷はどうだ?」
「ああ、大丈夫だ」
「そうか」
和馬は傷がある部分を撫でながら答えると、複雑な表情をしていた。
「君には聞きたい事が何個かあるんだ。少し話さないか?」
「ああ、いいぜ。俺もお前に話したい事があるからな」
廊下の窓から差し込む月の光が、二人の真剣な表情を照らした。
「君は奈落に落ちてから、どうやって地上に戻ってきたのかな?」
「そんな事か。・・・奈落に落ちた後、俺はなんとか生き延びて、ダンジョンのボスを倒して外に出たんだよ」
「・・・そうか。大変だったんだな」
「それは皮肉と捉えていいのか?」
「ーーッ!?」
ユウリが返した言葉に、和馬の目元が少しピクッと動いた。
「何が言いたいのか分からないな」
「そうか。なら、はっきりと言ってやろうか?・・・・・・あの時俺たちに、いや、俺に魔法を撃ったのはお前だろ?」
「・・・・・・」
ユウリの言葉に和馬は表情を歪ませるが、ユウリは淡々と話しを進めた。
「少し気になっていたんだ。何で俺が狙われたのか。そして、何で雅だけを避けて攻撃をされたのか?答えは簡単、雅の事が好きだから」
「・・・じゃあ、俺が雅の事を好きだと?」
「ああ。理由は昔からお前らに接点がある事。まあ、それ以外でもお前は雅に熱烈アピールをしていた事は皆知っていたからな。そして、最大の理由は、俺が奈落に落ちた後、やけに俺が死んだ事をほのめかしていたと聞いた事だ」
「・・・何故それで、犯人が俺だと」
「何故もクソもあるか。雅を慰めるなら、わざわざ俺が死んだ事をほのめかす必要ないからな」
「・・・・・・」
ユウリが話し終えると、和馬は顔を手で覆い下を向いた。
そして、身体を震わせたと思うと、小さく笑い声が聞こえた。
「・・・フフッ、ハハハ。ハハハハハッ!」
「・・・・・・」
「いや、まさかバレるとは。ああ、そうだよ。久世の言う通り、あの時魔法を撃ったのは俺さ」
「意外と簡単に認めるんだな?」
「これだけ言われれば認めもするさ。しかし、君が生きているのは計算外だったよ」
和馬は先程までの態度とは打って変わり、まるで今までが嘘のようだった。
「何であんな事をしたんだ?」
「それはさっき君が言っただろ?雅を俺の物にする為に、君が邪魔だったんだよ」
「・・・・・・馬鹿が」
「ならこの事を皆に話すか?」
「いや、話すつもりはない。だがーー」
和馬はまるでユウリは話さないと確信していたかのように意気揚々としていた。
そんな和馬が一瞬で脂汗を掻かせる程、ユウリは魔力が漏れ出していた。
「俺の仲間に手を出してみろ。クラスメイトであろうが、勇者ともてはやされていようが、絶対にお前を殺すからな」
「ーーッ!?」
ユウリはそう言い残すと、殺気に当てられた和馬の横を通り過ぎた。
その場に残された和馬は悔しそうに歯を軋ませ、歪んだ表情が月の光のせいで窓にくっきりと映っていた。
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