日常と昔話
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トゥスタードを出発し、アグナッド帝国に着いたユウリたちは、入り口で降ろしてもらった。
「送ってもらって悪いな」
「なに、気にするな。それよりも、例の件は頼んだぞ」
「ああ、分かってるよ」
シュカはそれだけ言うと、客室の扉を閉じた。
そして、馬車は王宮へと向かって歩き出した。
「ユウリ、シュカさんと何話してたの?」
「ん?ああ、明日の事だよ」
「明日の事?」
フェルカはユウリの答えに首を傾げた。
「明日、シュカの結婚式があるんだよ」
「「結婚式ッ!?」」
フェルカとセリナはシュカの結婚式が明日と知り、驚いていた。
「でも確か、シュカさんの婚約者ってフリヒード公爵よね?」
「それで、ユウリとシュカさんの結婚式に何かあるの?」
「シュカに結婚式の招待をされた」
そう言うと、ユウリはルリを抱きかかえて街へ歩き出した。
フェルカたちも急いでユウリの後を追った。
「それで、ユウリ様。今日はいかがしますか?」
「う~ん。結婚式は明日だしな。ルリはどうしたい?」
「ルリ、お腹空いた~」
「よし、じゃあ飯でも食いに行くか」
ユウリたちは、昼食を取りに店に入り席に座ると、メニューを注文した。
すると、何処からか男達がこちらに来た。
「おい、兄ちゃん。女連れとは、良いご身分じゃねえか」
「あ?」
ユウリが男達の方を向くと、端に見える人達が怯えた顔でこちらを見ていた。
「おい、聞いてんのか!俺はここいらじゃ有名なーー」
「お前、うるさいよ」
ーードサッ!
ユウリが男達を睨むと、男達は一斉に倒れた。
その光景に店の客達は、唖然としていた。
しかし、フェルカたちは、もう驚くことはなく、平然としていた。
「今何したの?」
「今のは、俺の魔力をアイツらに魔力波として当てたんだよ。所謂、威圧だ」
「へ~、いつの間にそんな事ができるようになってたの?」
「よく分からないけど、俺の魔力が変化してから、何となく魔力の使い方が分かってきたんだよ」
「お兄ちゃん、凄いね!」
「そうだろ~」
フェルカとセリナとアンナはユウリの芸当にかなり感心していて、その一方でユウリは、ルリに褒められて嬉しそうにしていた。
ユウリがルリを撫でていると、注文したメニューが来た。
ご飯を持ってきた定員も、倒れている男達に驚いていた。
昼食を取り終えると、商店街で買い物をしつつ、今日泊まる宿屋を探した。
「そういえば、ユウリの魔力の事何も聞いてなかったわね」
「・・・・・・何だよいきなり」
今日泊まる宿屋を見つけ、部屋を借りゆっくりしていると、セリナが唐突に話し始めた。
「?・・・・・・皆さまは昔からのお知り合いではないのですか?」
「え?違うけど」
ユウリたちの関係を知らなかったアンナの為にそれぞれの事を話した。
すると、アンナはやけにユウリの話に食いついた。
「ユウリ様、その者は誰ですか?私が目に物を見せてやります」
「待て待て、何でそうなる」
「ユウリ様を攻撃して、さらに奈落に落とすとは。万死に値します」
「アンナ、ルリも聞いてるからその辺にしとけよ」
ユウリはこれ以上はアンナが暴走する危険があるので、話を元に戻した。
「・・・・・・と、まあこんな感じだ」
「何それ?魔法属性を継承?魔法じゃなくて?」
「それ、俺も言ったわ」
「じゃあ、ユウリの魔力が変化したのはそれが原因?」
「そうだな」
ユウリがパンドラから継承した[ブラッド・ロード]の事を話すと、セリナは頭を抱えてため息を吐いた。
それもそうだろう。通常の魔法属性の概念から外れ、個人の魔法属性があるなんて思ってもいなかったからだ。
そんなユウリの話を聞いていたアンナは、そっと手を挙げた。
「あの、ユウリ様」
「どうしたんだ、アンナ?」
「そのパンドラという少女ですが、両親に聞かされた昔話と合致するところがあります」
「マジで?」
アンナが聞いた昔話はこうだった。
昔、とある少女が兵隊に親を殺され、少女もまたその兵隊に刺された。しかし少女は生きており、数年後、成長した少女一人によって親を殺した兵隊がいた国が滅ぼされた。少女の魔法は異質で、普通の魔法とは異なるものだった。その禍々しい力故に、少女は「魔王」と呼ばれるようになってしまった。そんな中、災厄級の魔物が現れてしまった。その魔物から皆が逃げている中、少女は皆を助ける為、自分の命と引き換えに、その魔物を倒した。
「・・・・・・なあ、その少女の名前って」
「はい、少女の名はパンドラです。そして、彼女が使っていた魔法は恐らく」
「・・・・・・[ブラッド・ロード]か」
「でも、死んだはずの少女と会ったのよね?」
「う~ん。次会ったらその辺の事も聞いてみるか」
その後、意外に時間が経ってしまっていたので、ユウリたちは商店街で買った物などを整理していた。
その最中、フェルカとアンナは夕食を作っていた。
料理道具等はもちろん、アンナが《錬成》で作り上げた物だった。
夕食ができると、ユウリたちは荷物の整理を終わらせて、夕食を取った。
「どう、ユウリ?おいしい?」
「うん、上手い!」
ユウリは称賛すると、フェルカはデレデレして、アンナは尻尾をパタパタと振っていた。
その後、ユウリたちはいつものように休むことにした。
翌日の夕方、身なりを整えたユウリたちは宿屋を出た。
「さあて、それじゃあ波乱のパーティーに行こうか」
「うん!」
「ええ」
「はい」
「は~い!」
そう言ってユウリたちは、シュカの結婚式がある王宮に向かったのだった。
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